孫さん:
「ここで語られている『改善の余地』というのは、一般入試が実はすでに“公平”な入試とは言えなくなってきているという状況を示唆していると考えられます。
たとえば中学受験の加熱化によって、受験にかかる費用は過去よりも大きく増加しており、金銭的に厳しい家庭は不利になります。そして当然ながら、中学受験に十分に教育投資ができた家庭のほうが、大学受験では有利になります。東大合格者の多くが中高一貫の私立出身であることからも分かるように、“教育費をかけられる家庭のほうが圧倒的に有利” というのは否定できない日本の入試の現実だと言えます。
経済的な面だけでなく、地域格差という意味でも同様のことが言えます。中高一貫校がほとんど存在しない地域もありますよね。
つまり、一般入試もまた機会平等が完全に担保されているとは言えないのです。その中で推薦入試は、経済的・地域的なハンデを一定程度考慮できるという意味で、むしろ多様性を確保する手段としての役割が大きくなっているのではないかと考えられます」
難関大学の推薦に合格する生徒の特徴
ーーー長年指導されてきて、合格する生徒にはどんな特徴がありますか?
孫さん:
「ひと言でいえば、“深く考えた経験のある生徒” です。面接官が最も重視しているのは知識量ではありません。むしろ『自分の頭で物事をどれだけ深く考えたことがあるか』を問います。たとえば東大教養学部で実際に出された質問に、『歴史という、これからも積み上がっていくものの中で、何を重要視し、何を後世に残すべきだと思うか』というものがありました。


















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