酒向:とくに傾向があるわけではなく、本当にいろいろな人が来てくれて、リハビリ専門医を取得してくれています。私と同じように脳外科医を経験してから来る方もいれば、脳神経内科から来た方もいるし、救急で助けた患者さんのその後をサポートしたいと言って、救命救急の専門医も来られています。もちろん、内科や外科の先生もいますよ。あとは私の「攻めのリハビリ」は普通の回復期病院のものとはちょっと違うので、そこを勉強したいと言って来るリハビリ医の方もいます。
窪田:社会の高齢化が進み、リハビリが必要な方が増えている中で、酒向先生のような技術を身に付けようとする方がたくさんいるというのはいいことですね。
医師の武器は手術や内服治療、点滴だけではない
酒向:最近は、長く内科をやっていたという先生も勉強に来られています。内科治療はお薬による治療がメインの分野です。しかし、50歳を過ぎると、人の筋肉は年に1%ずつ落ちていきます。体が衰えればさらに精神も落ち込んでいくのに、それらを放置したままお薬だけで何とかしようとして、ポリファーマシー(多剤併用)になってしまったらどんどん弱っていくだけです。そこに気付く内科の先生が増えてきたことは、私もとくに嬉しく感じています。
外科でも内科でも、手術をどうするか、点滴や内服治療をどうするかということのみが武器になってしまっている傾向があると思います。患者さん自身のフィジカルをどう増強して、メンタルをどう上げていくかによって人間の体が変わるんだということへの意識は、まだ弱いところがあるのかなと。
窪田:もったいないですね。外科でせっかくいい手術をしても、そのあとのメンテナンスが不十分だと、本来期待できる回復が果たせないのですから。
酒向:そうなんです。だから脳でも骨でも心臓でもがんの治療でも、最近の優秀な先生方は、まず患者さんに2〜3カ月のリハビリをしてもらって、基礎体力や筋力を上げておいてから手術をするんです。そうすると――。
窪田:そうか、回復が早いわけですね。
酒向:そのとおりです。合併症も起こりにくくなりますし、もちろん退院も早まります。リハビリは今、そういう時代になってきました。
窪田:すばらしい、いいことしかない。手術前から始まっているとは、まさしくこれも「攻めのリハビリ」ですね。

















