名門小学校に受かる子はどこで｢本物の情報｣を得ているのか––ハイソだけが使う《看板のない予備校》と階層の深い闇

考えてみたい。公的に語らず、その内容は詳（つまび）らかにせず。しかし、外堀は商業的な潮流でがっちり固める。するとどうだろう。その「成功」とやらの情報に行き着くか否か？ もすでに情報感度の高さや、所属コミュニティの「社会階層」（ピエール・ブルデューの言う「界」）などによって、選抜的になるのではないだろうか。オフィシャルには語られない知る人ぞ知る「成功者」のリアルな不文律が、あるコミュニティでは盛んに語られる。注意深く、小声で。社会や経済の動きに敏感で、階層下降を是が非でも避けたい、すでに「成功」している人ならではの秘訣、などと。

「ハイソ」な人だけが知っている公然の情報

余談だが、先日ある大学教授とランチをしていた。大変裕福な出自で、学友には社会的に「成功」している人がゴロゴロいる。泣く子も黙る大企業の社長など（もっと言うと、その方々の親がすでに「成功」しているわけだが）。

そのいわば「ハイソ」な彼は、お子さんを有名小学校に通わせていると私に打ち明けた。こういうハビトゥス香る話題は得意だ。こう尋ねて深掘る。

「さぞかし狭き門だったんじゃないんですか？」

彼は文字通り小声で語る。

「僕の同級生の○○って、○○○○○○の社長ですけど、あいつが子どもを数年前に名門小学校に入れたって言ってね。いろいろ教えてもらったんですよ。知る人ぞ知る、佐藤ママ的な実績豊富な○○○って看板のない個人がやってる受験予備校に行くと、ジャックとか伸芽会より実は合格実績があると」

「初耳です。それはそのお友達から聞かなかったらわからないですね」

「そうなんだよ。非公式ネットワークが大事」

悩ましいのは決して裏口入学とかそういう話ではない点だ。その学校ごとの評価項目を熟知し、それをピンポイントで教えてくれる塾を経て、努力を重ねた結果、受かるのだから。その塾に出会えるかどうかが、親のネットワークと財力、つまりハビトゥスに拠るというのがミソなわけだが。

さて、ここまでいかがだろうか。成功とは何か。失敗とは何か。くらい哲学的に考える時間があってもいいと思うが、皆さんは今どうお考えだろう。利根川の別称が坂東太郎だと知っていることよりも、ぜひ、社会に出る前に

など、議論されることを切望する。

そして、最後にもう一つ、コンプレックス産業としての成功哲学を守り立て、廃れさせないしかけとして挙げて、まとめていきたい。