なぜ「アルピーヌ」ブランドは愛されるのか?「A110」に宿る最終限定車3モデルで再確認したブランドの作り方

✎ 1〜 ✎ 88 ✎ 89 ✎ 90 ✎ 91
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして2017年ジュネーブで現行A110が公開、翌年フランス大使館で日本発表という流れで、新生アルピーヌの歩みが始まったのである。

日本仕様のA110は、まず限定車「プルミエールエディション」が発売されたあと、軽量化にこだわった「ピュア」と、快適性を高めた「リネージ」の2モデルを用意。翌年には高性能グレードの「S」が追加され、アトリエアルピーヌは2020年に導入された。

2018年にフランス大使館で発表された日本仕様(筆者撮影)

2022年にはグレードをベースモデル/GT/Sの3車種に再編し、グレードにより違いがあった1.8リッター直列4気筒ターボエンジンは、すべて300psに統一。レーシングカーを思わせる仕立ての「R」も加わった。

そして2025年、Rはアルピーヌ創立70周年を記念したR70となり、GTとSはGTSへと統合。これ以外にも、多くの特別仕様車がリリースされている。

レーシーなR70、クラシックなベースモデル

今回はカタログモデル3車種を一度に試乗するという、貴重な機会に恵まれた。

場所は長野県の車山高原。昔から毎年秋にフランス車のイベントが行われる地であり、当方にとっては土地勘があることもありがたかった。

カーボン製のエアロパーツがつく「R70」(筆者撮影)

最初にドライブしたのはR70。外観はフロントフードやルーフ、サイドスカート、リアウイングに加えて、ホイールまでカーボン製だ。

リアウインドーまでカーボンのパネルに置き換えられている。おかげで車両重量は1090kgと軽い。

インテリアも、カーボン製バケットシートや5点式シートベルトなどで、レーシーな雰囲気を醸し出す。でも、シートのクッションがブルーで、インパネやドアトリムのステッチを同色で合わせるあたりに、フランス車らしいセンスを感じる。

バケットシートがつくレーシーなR70のインテリア(筆者撮影)

走り出してまず感じるのは、クイックなステアリングと、車体のソリッドな動きだ。といっても、サスペンションはそんなにガチガチではない。

明確に固いけれど、荒れた路面ではしっかりストロークしてくれることがわかる。ステアリングを通して路面の感触が伝わることもあって、安心してペースを上げていけるのだ。

ステアリングのボタンを押してスポーツモードにすると、オプションのアクラポヴィッチ製マフラーからの音がさらに揃って、吹け上がりにも勢いがつき、レッドゾーンまで一気に回転を上げていく。

次ページ現代的でバランスのよい「GTS」
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事