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AI利用を全従業員に「ほぼ義務化」 平成を彩ったSNS《mixi》、その運営会社が進める"AI改革"とは

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もちろん、いきなり全員が1分でできるわけではない。

AIに慣れていない人には「3時間→1時間」といったステップを設定し、残りの時間で学び、徐々に1分に近づいていけばよい、とし習熟のための時間も確保していった。

重要なのは、「その仕事はAIを使えばどれくらいで終わるのか」をマネージャーが具体的に理解していることだ、という。

「『AIならすぐできるでしょう』と雑に言うのではなく、『あのモデルならこのくらいまでは出せる』と感覚を共有していきます。だからこそ、丸投げにも、無茶振りにもならず、着実にAIを業務に取り入れていく流れを進めて行くことができました」(村瀬氏)

こうした設計により、MIXIは、AIは単なる「好きな人が試すツール」ではなく、「業務前提のインフラ」として定着させていった。

村瀬氏が展望するAI活用の未来

村瀬氏は、今後のAI進化を前提に「人間とAIの時間軸の違い」を指摘した。

「24時間365日動き続けるAIと、1日8時間働く人間がどう協働するか。たとえばサーバー障害対応でも、AIエージェントが深夜に一次対応し、重大なケースだけ人間にエスカレーションする、といった権限移譲の設計がますます重要になっていきます」(村瀬氏)

同時に、AIの導入で組織構造も変わっていくと見ていた。

「いわゆる“2枚のピザで足りるチーム”(およそ5〜10人)どころか、もっと小さな単位でもプロダクトを作れるようになります。ビジネスとデザイン、エンジニアリングを横断できる人材が増え、4人全員が『小さなCEO』のようにユーザーに向き合うチームが、AIが前提の組織やチームの理想像に近い、といえます」(村瀬氏)

その一方で、「小規模でも事業が作れるなら、そもそも会社に入らなくていいのでは?」という問いも浮かぶ。

実際、筆者がスタートアップ企業を取材していると、成長期にあって「5名の新卒採用を予定していたが、AIを扱える1名を採用し、ほかはすべてキャンセルした」という声を聞くのも珍しくない。

だからこそ企業は、ビジョンや人とのつながり、学びの機会、AI投資環境といった「会社に属する意味」を再設計しなければならない。「AIで何ができるか」ではなく、「AIとともに、どんな組織と働き方をつくるのか」。この部分を意識できるかが、AI時代において企業間の差を生むのだろう。

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