AI利用を全従業員に「ほぼ義務化」 平成を彩ったSNS《mixi》、その運営会社が進める"AI改革"とは
「2022年に生成AIが出てきて、『これは業務フローにも使えるようになる』とわかりつつありました。そこから社内に対してChatGPT Plusの補助を出して、『とにかく触ってみてほしい』という取り組みを始めたことが、全社のAI化の初手でした」(村瀬氏)
しかし、使い始めてすぐに壁に突き当たる。
現場からは「どこまで情報を入れていいかわからない」「学習されると困る」「経営は便利と言うが、現場で浸透させるにはどうしたらいいのか」といった声が上がった。
結果的に社内では、「なんとなくAIはやっているが、どこか足りない」というモヤモヤが強まっていったという。
AI導入における同社の特徴は、取締役会メンバー、つまり経営陣が、いち早く自分たちでAIを使い込み、「現段階でできること、強み、弱み」「モデルごとの違い」を、肌で理解していた点にある。
「テクノロジー企業ということもあり、経営陣が自ら生成AIを使いこなし、無料版と有料版、各社モデルの『質の差』を体感していたのが大きかったです。『このモデルだと全然答えてくれないけれど、Plusの先行モデルだといける』『この案件ならGoogleのモデルがいい』といった感覚が共有されていました」(村瀬氏)
一方、進化が進む前の初期に飛びついたり、無料版だけで終わらせたりすると「AIってこの程度か」という“がっかり体験”で止まってしまっていただろう、とも村瀬氏は語る。
全社的にChatGPT Plusの利用補助を決断した理由が、そこにあった。
しかし、補助だけでは「全社員」にまでは広がらなかった。
「いい体験をした人は自発的に使い続けるが、全員がそうなるわけではありません。『触ってみて』と言うだけでは、会社として“AIに本気で取り組んでいる”実感を持てるところまでは届かなかったのです」(村瀬氏)
「このままではAIを生かしきれない」という危機感
2024年の終わり、経営陣は「このままではAIを生かしきれない」と判断し、誰かが旗振り役となって推進すべきだと決めた。その役割を引き受けたのが村瀬氏だ。2025年1月に、全社横断のAI推進委員会をスタートさせた。ここから生成AIを「3カ月で全社導入」というゴールに向けた取り組みが始まった。



















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