「12.9インチiPad」はペン入力が秀逸だった アップルの新製品を最速レビュー

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iPad Proの投入後、どのようなペースで操作面の不整合に対応していくのか。また、対応するアプリが増えていくのか。新しい使い方を提案しようとしているだけに、これらはiPad Proの成功を図るひとつのバロメーターになるだろう。

筆者は絵を描くのが得意というわけではないためApple Pencilの紹介が後回しになったが、アップル版のペン入力機能は実にすばらしい体験をもたらしてくれる。もともと発表会時も、いちばんのニュースはApple Pencilだと感じながら執筆していたほどだ。

Apple Pencilの使い心地の良さは画期的

Apple Pencilは、マルチタッチパネルの信号とペン側の回路の組み合わせでペン機能を実現しているようだ。詳細は例によって公表していないが、マイクロソフトが買収したN-Trigという企業の技術と近いという印象を持った。

ペンタブレット用の検出レイヤーを持たないため、画面と保護ガラスの間にある隙間が小さく視差が少ない点は、N-Trigの特徴にも近い。昨今のオンセルタッチパネル化やダイレクトボンディングによる各層の貼り合わせ技術など生産技術向上も、こうしたタッチパネル層を活用したペン入力技術の価値を高めている。

Apple Pencilはペン先と反対側にキャップがあり、ここにLightningコネクタを配置。iPad Proと接続することでペアリング(接続)設定を簡単に行えるうえ、iPad Proからの電源供給で充電できる仕組みだ。

この部分の強度確保のためだろう。金属で作られたコネクタ部は重く、長いApple Pencilのデザインもあって、かなり上部が重いバランスとなっている。筆者は特に不満はなかったが、人によってはこのバランスが原因で”重い”と感じるかもしれない。太さはちょうど鉛筆と同等ぐらいで、ペン先形状も鉛筆を模している。

このApple Pencil、使い始めると“ただのペン入力ツール”とはひと味違うフィールを持つことがわかる。視差の小ささからくる書きやすさは、Surface 3などに近いが、新たに手書き対応となった「メモ」アプリを使い始めると、体験レベルがかなり異なることがわかった。

まずApple Pencilにはキャリブレーション(微調整)の必要がなく、購入後、使い始めるとすぐに“ジャスト”の位置にペン先と入力位置が合ってくれる。iOS内にも調整項目はなく、使用中に温度(さほど熱くもならないが)が変化しても入力位置がズレるといった症状もなかった。

さらに入力に対する応答性が極めて速い。従来のペン入力は入力から画面への反映に遅延があり、筆致はきちんと反映されるものの、感覚的に小さな文字が書きにくかった。しかし、Apple PencilとiPad Proの組み合わせでは、ポケット手帳に細かくメモを書き込む程度の小さな文字(しかも漢字)でも違和感なく入力できる。

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