「12.9インチiPad」はペン入力が秀逸だった アップルの新製品を最速レビュー
560万に及ぶ画素が並ぶRetina Displayは視差が小さく、色再現性やトーンカーブも適切で過度に派手な色を見せたりせず、誠実に映像を描写する。灯りを少し落とし気味にして映画を観れば、かなり細かく絵作りをしていることがわかる。派手ではないが誠実な作りだ。画素密度はiPad Airシリーズと同じであり、そのまま画面を大きくしたと考えていいだろう。縦横比は変わらず4:3だ。
4:3という縦横比を採用するスクリーンは近年少ないため想像しにくいが、筆者が執筆に使っている15インチ版のMacBook Proの画面高さが、iPad Proの短辺方向とかなり近いサイズであると言えば、その大きさが理解できるだろうか。横画面で使った際の大きさ感は、16:9の13インチノートパソコンよりも大きく感じる。
これだけの大きさを持ちながら、iPad ProはWiFi版で713g、LTE通信機能付きで723グラムとなっており、9.7インチ液晶搭載の初代モデルよりも軽量に仕上がっている。このほか、前述のプロセッサ周り、それに搭載メモリ量(4Gバイト)が多いこと、それに気圧センサー搭載を除けばiPad Air2と同等のスペック。バッテリ持続時間も従来のiPadシリーズとほぼ同等と考えておけば間違いない。
パソコンの代替ではなく、iPadの拡張
驚いたのは四隅に配置されたスピーカーユニットで、大画面化でスピーカーの容量を充分に取れたのか、実にバランスよい音を聴かせる。音圧も従来比で2倍以上出せるとのことで、実際、これで映像作品や音楽映像を観ても、まったく違和感なく楽しめる。
いずれにしろ、スペックだけを見渡すと「より高速で大画面なiPad」であり、それ以上のものではない。iPad ProではなくiPad bigあるいはiPad XLといった言い方がピッタリと思った人もいるだろう。
しかしアップルは、単に大きくて高性能なiPadではなく、よりプロフェッショナルな人たちが活用する製品として、新しい領域に踏み出すためにiPadを 再定義した結果だと話すだろう。単に大画面化するだけでなく、同時にiPadの適応領域を広げる工夫をいくつか施している。
iPad ProにはSmart Keyboardという、画面カバーとキーボード、それにiPadスタンドを兼ねるアクセサリが用意されている。これを見てマイクロソフトSurfaceシリーズを思い出したかもしれないが、接続に使われている端子の機能は異なっており、基本的にキーボードユニットへの給電と通信しか行えないそうだ。
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