「12.9インチiPad」はペン入力が秀逸だった アップルの新製品を最速レビュー

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これはアップル以外が開発するアプリでも同様で、Apple Pencilにいち早く対応したアプリ「Paper」や「OneNote」を使ってメモを取ってみたところ、同様の高い追従性を確認できた。OneNoteにはWindows版も存在するが、応答性はiPad Proの方がいい。アプリケーション側ではなく、ハードウェアやドライバなどトータルでのチューニングがうまく行っているのだろう。

ほか、アドビシステムズがSketch、Photoshop Fixなどのアプリの内容によって、応答や振る舞いに若干の違いはあるものの、Apple Pencilのペン入力体験はこれまでのものとは格段に違う。

Apple Pencilには、ペンの傾きを検出する他のペン入力システムにはない特徴的な機能も備わっており、斜めにする角度によって塗りつぶしになったり、塗りつぶしの幅が変化する。振る舞いの自然さは、実装しているアプリにも依存するが、今のところどのアプリも上手に使いこなしている。

また、ペン先が近くにあることを検出していると、画面上に手を置いた時にも“タッチ”として反応しないようにする制御(パームキャンセル)が働いているようで、ほとんど指での操作とApple Pencilでの操作の切り替えを意識せず、自然に使える点も従来のペン入力に対する優位性だろう。

iPad ProとPencilは“iPad拡張”の第一歩

しばらくiPad ProとPencilを使用して理解できたのは、ユーザーニーズのど真ん中に投入する製品ではなく、この製品によって業界全体、あるいはユーザー自身による“気づき”を狙っているのではないかと感じた。

iPad Proの高性能や大画面、高精細画面や、正確で自然なフィールのペン入力など、新鮮な驚きも感じるが、そのパフォーマンスの全貌はまだ見えない。現時点ではApple Pencil対応アプリやアップル自身が提供するアプリで一端を感じられるだけだ。

アップル自身が開発するアプリが、その先頭を切って新たな可能性を見せてくれるだろう。あとはアプリ開発者やサービス事業者などが、その可能性に乗ってくるかどうかだろう。iPadは初代機が発表されてから、まだ6年も経過していない。これまでのiPadが作ってきた市場以外にも、広がっていく可能性をアップルは自身で示せるかどうか。その第一歩としては悪くないスタートだと感じた。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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