「あなたが"真ん中のコース"を選ぶのは偶然ではない」→レストランの松竹梅に仕掛けられた《脳が抗えない値付けのトリック》

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料理
価格設定は消費者の認知やブランドイメージを大きく左右します(写真:本ちゃん/PIXTA)
あなたは「ちょっといいレストラン」に入ったとします。椅子に腰かけ、メニュー表を開くとそこに並んでいたのは以下の3つのコース。
1万2000円の松コース
8000円の竹コース
5000円の梅コース
さて、この中からあなたはどれを選ぶでしょうか?
近年、このような3段階の価格設計をする店が増えています。こういった価格設計をする際、店側としては「売りたい価格帯」を決めて松竹梅戦略をとっており、この中に一番売りたい価格帯があります。
法廷臨床心理学博士であり、現在ニューロマーケティングトレーナーとして活躍する遠藤貴則氏は「人間の脳にはアンカリング効果があり、価格を決めるときはこの働きを意識することが重要」と話します。
本記事は、遠藤貴則氏の著書『ザ・ニューロマーケティング 最新の科学が暴いた消費者の「買いたい」を行動につなげるビジネス戦略』から一部抜粋・再編集したものです。

価格設定で重要なアンカリング効果とは

マーケティングやセールス活動において、価格の設定は単なるコスト計算や競合比較だけでなく、消費者の認知やブランドイメージを大きく左右します。消費者は商品やサービスの実質的な価値を正確には把握しきれず、心理的指標や相対的な比較によって「高い」「安い」「ちょうどよい」と判断することが多いのです。

そこで注目されるのが、行動経済学や心理学で明らかにされているアンカリング効果をはじめとする心理的価格帯の考え方です。

アンカリング効果とは、人がはじめに提示された数値や情報を「基準(アンカー)」として、その後の判断を大きく左右される心理現象です。

たとえば、ショッピングサイトで「定価1万円」が「セール価格7000円」になっていると、その7000円を「安い」と感じたり、レストランのメニューで最も高いメニューが5000円だと、それに比べて3500円のメニューが「お得」に見えてしまったりする現象を指します。

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