元・大和証券部長が考える「日経平均5万円」は通過点にすぎない、その理由とは何か?

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では、株価はどうやって決まるのでしょうか。シンプルに言うと、企業が将来上げ続ける利益がいくらかについての、あらゆる投資家の見立てで決まります。現在年間100億円の利益を上げている会社があって、あらゆる投資家が利益を将来2000億円まで累積するだろうと見立てたら、企業の値段である時価総額は2000億円となり、それを発行済み株式総数で割った1株当たりの値が株価です。将来利益の見立て=企業の値段=時価総額=株価、というわけです。

先ほど、株式会社制度の前提として株主には利益をもらえる権利がある、つまり企業が上げる利益は株主に帰属する、とお話ししました。将来の利益ももちろん株主に帰属します。

つぎに、株主は会社運営に対する権限を有しているともお伝えしました。主には最高意思決定機関である株主総会での議決権であり、そのうちの1つが経営陣である取締役を選ぶ権利です。

つまり会社は、株主が期待する利益を生み出し続けないと、株主によって取締役がクビになるなど、経営そのものが変わらざるをえないといったことが当然に起きるわけです。

これが会社は株価を上げ続けなければならない、根本的な理由の1つです。

会社は株主のモノ?

ここでおそらく違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。「会社は株主のモノじゃない!」って。

もちろんその通りです。顧客がいて、取引先がいて、従業員がいる。そしておカネの出し手には債権者もいるし、事業を展開するのは地域社会があってこそ、です。

実はいま挙げた登場人物のすべてはステークホルダーと呼ばれ損益計算書(P/L)に載っているのです。

東京カブストーリー
(出所)「東京カブストーリー」

顧客から受け取るバリューである売上高から、仕入れ代金を取引先へ、賃金を社員へ、金利を銀行へ、税金を地域社会へと支払った残りが株主に帰属する利益です。株主はバリューを最後に受け取る存在です。企業は、6つのステークホルダーすべてにバリューを提供していくことを求められていて、そのために存在しているのです。決して株主のためだけに存在しているわけではありません。

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