日本人は余暇の過ごし方が下手すぎる。すべての人が自分の人生を自由に描ける「1億総生活デザイナー時代の到来」を目指して

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窪田:人々が地方と都市を行き来することは、経済再生や人口偏重の解消といった話にとどまらず、私たちの感覚を研ぎ澄まし、取り戻していくためにも大切なのだと思えてきました。

高橋:そうですね。経済と文化だけでなく、都市と地方のバランスも非常に偏っている今、ここを正さなければ経済をよくすることもできないと思います。

例えば、ドイツのGDPは2025年時点で3位と、日本の5位よりも上です。しかし人口は日本の3分の2程度で、国民は余暇の時間をとても豊かに過ごしているんです。これはヨーロッパに行くと本当に強く感じることで、みんな休むために働いているみたい(笑)。でも日本人は、働くために休んできたようなところがあります。週末は疲れ果ててぐったりして、月曜に何とか起き上がるような人も少なくないのでは。この余暇の貧しさでは、そりゃ生産性も上がらないだろうなと思います。仕事の生産性を上げるには、仕事以外の人生を楽しまないと。「仕事だけしてる場合じゃない! ほかのことを楽しみたい!」と思えば、ちゃっちゃと仕事を終わらせようと思うじゃないですか。

自分の生活を一人ひとりがオーダーメイドでデザインせよ

窪田:私がアメリカで働いていたときも、月曜日の話題は「いかに週末を楽しんだか」ということでした。旅行にしろ家族との時間にしろボランティアにしろ、どれだけ意義のある時間が過ごせたかを話すことで、周囲とのコミュニケーションが成立するという感じでした。日本では「土日も仕事でした」と言うと「偉いね」と言われる風潮がありますが、それはアメリカではあり得ないことです。

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高橋:石破前総理大臣が「楽しい日本」を目指すと言ったとき「そんな余裕はない」なんて国会でも叩かれましたが、僕はあれ、結構いいと思いました。人間一人ひとりの目的は、結局のところ「楽しく生きること」なのだと思います。例えば富山県が「幸せ人口1000万人」を掲げていたり、岩手県が長期計画の中核に「幸福度」を盛り込んだり、地方を見ても少しずつ変わってきていると思います。

一方で、都市という完成された消費社会の中で楽しむにも、やはり生活の質を高めることが大切です。いつどこで誰と食事をするのか、いつどこで仕事をするのか、いつどこで余暇を過ごすのか。自分自身の生活のすべてを、一人ひとりがオーダーメイドでデザインすればいいと思うんです。僕はこれを「1億総生活デザイナー時代の到来」と言っています。

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