見切り発車の「ガソリン暫定税率廃止」で持ち上がる都道府県の「減収穴埋め」という難題…対処次第で地方の格差が広がりかねない

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こうした状況を踏まえずに、人口が多い県ほど税収が多く入る税目を代替財源に選ぶと、この表の上位の県では、代替財源が得られても暫定税率廃止による減収が上回ってトータルで収入が減ることになる一方、首都圏や関西圏の都府県ではトータルで収入が増えるということになる。

ただでさえ、現行税制でも東京都は突出して税収が多いのだから、代替財源の選択を誤ると、都道府県間の税収格差は更に拡大することになりかねない。

格差是正を行えば、国依存が強まるジレンマ

税収格差を是正する国の仕組みはある。しかし、その格差是正の仕組みに頼れば頼るほど、国依存が強まり、地方自治体が独自に税収を獲得するという自律性を失うことになる。地方税としては、都道府県間の税収格差ができるだけ生じにくい税目を選りすぐっていく必要がある。

それほどに、代替財源を前もって考えずにガソリン税の暫定税率を廃止することは、無責任なことだと言わざるをえない。

土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授

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どい・たけろう / Takero Doi

1970年生。大阪大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学社会科学研究所助手、慶応義塾大学助教授等を経て、2009年4月から現職。行政改革推進会議議員、税制調査会委員、財政制度等審議会委員、国税審議会委員、東京都税制調査会委員等を務める。主著に『地方債改革の経済学』(日本経済新聞出版社。日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『入門財政学』(日本評論社)、『入門公共経済学(第2版)』(日本評論社)等。

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