しかし、今回の暫定税率の廃止によって、ガソリン・軽油の取引量に比例して税収が失われることになる。それを見極めて補填しなければならない。地方自治体への影響は、地方揮発油税の暫定税率分と、軽油引取税の暫定税率分である。
地方揮発油税は、国が徴収して、それを道路延長や道路面積に応じて各地方自治体に「地方揮発油譲与税」という形で分配している。暫定税率(0.8円/リットル)は廃止されるが本則税率(4.4円/リットル)は残る。だから、25年度まで用いてきた算定式に基づいて、26年度も本則税率分の税収を引き続き地方揮発油譲与税として各地方自治体に配るとともに、暫定税率分相当の金額を地方特例交付金として各地方自治体に補填すれば、対処できる。
問題は、軽油引取税である。
減収分を都道府県はどう見積もるか
軽油引取税も暫定税率(17.1円/リットル)は廃止されるが本則税率(15.0円/リットル)は残る。軽油引取税は、都道府県の税収である。26年度は、各都道府県が本則税率分の軽油引取税の税収を見積もることになる。
税収見積もりに比して、軽油引取税の暫定税率分相当の金額を、各都道府県が見積もった軽油引取税収に比例して地方特例交付金として補填すれば対処できるかというと、そんなに簡単ではない。
各都道府県の軽油引取税(本則税率分)の税収見積もりが正しければ、支障をきたすことはないだろう。しかし、正しいという保証はない。現に、各都道府県の軽油引取税収は、近年でも増える県もあれば減る県もあって、単純ではない。
しかも、事前に見積もった税収額に比例して減収補填をする、と国が方針を示したら、多めに税収を見積もる都道府県が出てこないとも限らない。本則税率分の税収を多めに見積もれば、暫定税率廃止による減収が多く見積もられることになり、それに基づいて補填されるなら、多めに見積もる誘因が生じる。
逆に、軽油引取税収が見積もりよりも上振れる形で実際の税収が入ってきたら、暫定税率廃止による減収が実は多かったと事後的に判明するのだが、事後的に精算しない限り、国からの減収補填は不十分になりかねない。



















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