「既に激安」ガソリン税引き下げ阻む不都合な真実 日本の小売価格はアメリカに次いで2番目に低かった
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「決めたなら、どうしてすぐ廃止しないんだ!」
昨年12月、ガソリン税(揮発油税)に上乗せされている暫定税率25.1円の廃止が与党の令和7年度税制改正大綱に明記されました。しかし、国民民主党が求めた2025年中の廃止は難しい情勢で、国民の不満の声が噴出しています。
実はガソリン税を引き下げるのはそう簡単なことではありません。今回は、引き下げのハードルとなる4つの論点を検討します。
道路の補修に支障が出る
第1に、財源が大きなハードルになります。もし暫定税率を廃止したら、国が約9400億円、地方自治体が約3100億円の税収減になるので、財源の手当てが必要です。
2024年の日本の税収は過去最高の73.4兆円に達したので、「増収分を財源に充てればよい」という意見があります。ただ、暫定税率を恒久的に廃止するなら、税収増や赤字国債に頼るのではなく、恒久的な安定財源を確保するのが定石でしょう。
仮に財源確保のために別の税金を引き上げたら、ガソリン車のドライバーからそれ以外の国民に負担が付け替わるだけで、国民全体の影響はプラスマイナスゼロということになります。
また、ガソリン税の一部が地方自治体に交付されており、道路の維持・補修などに使われています。暫定税率が廃止されると、自治体の財源が大幅に減り、道路の新設・補修などの事業に支障が出ると懸念されます。
先日も埼玉県八潮市の道路陥没事故が起きるなど、道路インフラの整備は大きな課題となっています。この財源の問題が、合意済みの廃止の実行に手間取っている最大の要因ですが、それ以外にも検討するべき論点がいくつかあります。
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