「既に激安」ガソリン税引き下げ阻む不都合な真実 日本の小売価格はアメリカに次いで2番目に低かった
今後、地方では人口減少・過疎化と住民の高齢化が加速度的に進みます。民間の有識者グループ「人口戦略会議」によると、全体の4割にあたる744の自治体で、2050年までに20代から30代の女性が半減し、「最終的には消滅する可能性がある」とのことです。
こうした変化に伴い、地方では、近くにショッピングセンターはおろか零細商店すらない商店過疎地やガソリンスタンド(サービスステーション/SS)が少ないSS過疎地が増えています。
SS過疎地域が急増する未来
SS過疎地とはSSの数が3カ所以下の市町村のことで、資源エネルギー庁によると2024年3月末現在、全国にSS過疎地が372市町村あります。すでに全国の市町村の2割がSS過疎地で、今後この数は激増することが確実です。
この状況で、高齢者が車を30分以上運転して日々の買い物に出かけたり、給油しに行ったりするというのは、ちょっと想像しにくいところです。「地方に住み、自動車に乗って暮らす」社会は、長い目で見るとまったく持続可能ではありません。
いま資源エネルギー庁は、SS過疎地でSSがこれ以上減らないようにSS過疎地対策補助金を支給するなど対策を講じています。ただ、地域人口が減り、SS運営業者が高齢化する状況で、こうした対策は焼け石に水。せいぜい向こう10年の延命措置にすぎません。
そこで抜本的な解決策として期待されるのは、コンパクトシティ化で自動車を使わない社会を実現することです。人が住む都市部と人が住まない周辺区域に分けて、都市部で公共交通機関と徒歩で暮らせるようにすることが、現実的な地方の生き残り策と言えるでしょう。
「地方住民を見捨てるのか」と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。2008年からコンパクトシティ化に向けてまちづくりを進めている富山市のように、多くの地方都市がこの方向での改革に舵を切っています。
今回のガソリン税の引き下げは、夏の参院選に向けて国民にアピールしたい国民民主党が主導し、物価高で苦しむ国民が同調し、大きな注目を集めています。しかし、政治家は目先の選挙、国民は目先の物価高よりも、日本の地方社会のあり方について真剣に議論したいものです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら