「既に激安」ガソリン税引き下げ阻む不都合な真実 日本の小売価格はアメリカに次いで2番目に低かった
第2に確認・検討したいのは、ガソリン価格の国際比較です。多くの国民が「ガソリンが高い」と訴えますが、日本のガソリン価格は本当に高いのでしょうか。
OECD加盟38カ国のうち比較可能な35カ国で、日本のガソリン小売価格はアメリカに次いで2番目に低い水準です(財務省「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料」)。もし暫定税率が廃止されて25円下がったら、主要国で最低水準ということになります。
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最も安いアメリカは世界最大の産油国であるのに対し、日本では国内原油生産量がほぼゼロ。各国の小売価格の差は主に税制の違いによるものですが、原油を全面的に輸入に頼る日本のガソリン価格をさらに引き下げるべきかどうかは、議論の余地がありそうです。
ガソリン車ドライバーだけ恩恵を受ける?
第3に、ガソリン税引き下げには物価高を抑制する効果が期待されているわけですが、物価高対策として妥当なのかどうか、検討が必要です。ガソリン税引き下げによって直接的に大きな恩恵を受けるのは、ガソリン車のドライバーです。
それ以外の国民にも物流コスト低減などの効果がありますが、間接的かつ軽微な影響にとどまります。自動車に乗らない高齢者・低所得者にとって、ガソリン税引き下げは不公平な物価高対策です。
物価高は国民全体の問題であり、国民全体に公平に恩恵が及ぶようにするべきです。円安による輸入物価の高騰が昨今の物価高の主因であることから、日銀が低金利政策を見直すことの方が必要かつ妥当な対策と思われます。
また、昨今の2%程度の物価上昇率は、2013年にデフレスパイラルの危機に直面して政府・日銀が異次元の金融緩和に踏み切って以来、長く目標にしてきた物価水準です。今後もこれくらいの物価上昇を続けたい政府・日銀は、どこまで物価高対策が必要なのか説明をする必要があります。
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