「獣を殺すな!」「同じ目に遭わせてやる」「メイクするのは命への冒涜」と苦情が相次ぎ…それでも《現役・女性ハンター》が"狩猟を辞めない"理由

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YouTubeも、動物の血や死骸、あるいは連想させる場面が映ると広告がつかなくなり、結果的に制作費でマイナスになっている。

NozomiさんのYouTuberとしての収入は、「高校生のお小遣いくらい」だと言う。登録者約18万人はすごい数字なのだが、ジャンルが狩猟であるというだけで、他ジャンルとは収益で大きな差が生じてしまうのだ。

女性ハンター
仕留めたイノシシの肉塊(写真:Nozomiさん提供)

それでも猟師とYouTuberを辞めない理由

それでも、狩猟もYouTuberも続ける理由を、Nozomiさんはこう説明する。

「男の人と比べると、私は体も小さいし力もないので、害獣駆除の現場で大きな戦力にはなれないんです。けれど、代わりに情報発信をすることで、間接的に皆さんの力になれたらと。狩猟免許を取ったけど、何からすればいいのかわからないという人が、私の投稿を見て、最初の1歩を踏み出すきっかけになってくれたらと思います」

ジビエ
イノシシ肉とキノコをたっぷり入れたジビエ料理(写真:Nozomiさん提供)

そのほかにも、近所の農家の方からの「あなたが畑を守ってくれているのね」「ケガしないように頑張ってね」という応援や、イベントや講演での観客からの「会いたかった」という言葉が糧になっているという。そう話すNozomiさんの表情は、満面の笑顔だ。

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獣害とされる動物といかに共生するか。それは、命の在り方や、自身の生き方を考えることでもある。住み分けのための根本的な対策も、簡単に実現できるものではない。

だからこそ、最適解は何かを問い続け、議論し続ける必要があるのではないか。

これは獣害だけの問題ではない。多様性が叫ばれて久しいが、さまざまな国や思想や規律やビジネスモデルで生きる人々と共生するために、我々はお互いのことを理解して尊重しつつ、身を守るために対策をして生きていくべきなのだろうと、取材を通じて心から思えた。

肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京生まれ。大学中退後、広告代理店勤務を経てフリーのジャーナリストに。

社会問題や人物ルポ、歌舞伎町や夜の街を題材に執筆。陽が当たりづらい世界・偏見を持たれやすい世界で生きる人々や、そこで生じている問題に着目した記事を書くことを使命としている

著書に『炎上系ユーチューバー 過激動画が生み出すカネと信者』など。新宿ゴールデン街「プチ文壇バー月に吠える」、四谷荒木町「ブックバーひらづみ」の店主でもある。

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