「獣を殺すな!」「同じ目に遭わせてやる」「メイクするのは命への冒涜」と苦情が相次ぎ…それでも《現役・女性ハンター》が"狩猟を辞めない"理由

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上京して大学を卒業後、会社員に。RPGゲームが好きだったこともあり、ミッションをクリアして成績を上げる営業の仕事は、肌に合っていた。

上司や同僚にも恵まれ、営業成績もよかったが、せわしない日々に少しずつ違和感を覚えるようになったという。当時は朝7時に家を出て、満員電車で出勤し、終電間際で帰宅することも珍しくなかった。食事はコンビニで買ったものばかりで、体重は10キロ近く増え、体調を崩しがちになる。

そんなNozomiさんをリフレッシュさせてくれたのは、茨城県で農家をする祖父母が送ってくれた米や野菜だった。

「祖父と祖母のつくった野菜が本当に美味しかったんです。いつか東京を離れて、自然の中で毎日この野菜を食べて暮らしたい。そう思うようになっていきました」

実際に移住を決めたのは、祖父の死がきっかけだった。祖母1人では農業を続けるのが難しく、廃業せざるをえない。そう聞いたとき、畑を守りたいという思いで決断。

体調を崩してから興味があった、ヨガのインストラクター資格を取得し、ヨガ教室の経営と農業の2本柱で生活する計画を立てた。上司に退職の意向を伝えると、安定した仕事を手放すことに驚かれたが、Nozomiさんの意思は変わらなかった。

Nozomiさん
ヨガのインストラクターとしても活動する(写真:Nozomiさん提供)

イノシシに畑の作物を食い荒らされ…

移住後、Nozomiさんの日々は一変した。朝3~4時に起きてヨガ教室のチラシを配り、その後は畑仕事で落花生を育てた。農業の勉強もしつつ、ヨガ教室や事務作業を夜中までこなす。

毎日睡眠不足で、忙しさは会社員のころと変わらない。しかも、引っ越しやヨガ教室の開業で貯金を使い果たしていたが、メンタルは驚くほど快適だった。

「毎日が楽しくて仕方ありませんでしたね。東京に比べると不便だし、収入も減りましたが、心はすごく自由で満ち足りていました。増えてしまった体重も、いつのまにか適正に戻っていました」

女性ハンター
茨城に移住し、笑顔が増えたNozomiさん(写真:Nozomiさん提供)
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