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「獣を殺すな!」「同じ目に遭わせてやる」「メイクするのは命への冒涜」と苦情が相次ぎ…それでも《現役・女性ハンター》が"狩猟を辞めない"理由

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  • 肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト
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子どものころに戻ったように、大自然の中で楽しく健康的に過ごす日々。畑に植えた落花生も順調に育ったが、いざ収穫の直前に事件が起きた。イノシシによって、落花生がほとんど食い荒らされてしまったのだ。

金銭に換算すると、数十万円の損害。だがそれ以上に、丹精込めて育てた作物が荒らされたことに、やりようのない悲しさや悔しさが込み上げてきた。

実は近所の畑も、イノシシによって大きな被害を受けていた。だが電気柵などを設置するのは多額の費用がかかり、対策ができないまま廃業してしまう農家も少なくなかった。獣害を駆除する猟師も減少し、高齢化も進んでいる。このままだと10~20年後はどうなってしまうのか……。

農業について勉強しながら畑仕事をこなす日々(写真:Nozomiさん提供)

必要以上に苦しませてしまった後悔

そう考え、Nozomiさんが出した決断は、自身がハンターになることだった。

「おばあちゃんの畑を守りたい、自分たちで解決できる力が欲しい。たどり着いた答えが、猟師になることでした。私だけじゃなく、茨城で暮らす3人の孫が全員で狩猟免許を取りました。全員で力を合わせれば何とかなるだろう、という思いでしたね」

狩猟に必要な道具や衣類を買い揃え、ベテラン猟師に教えを請いながら、Nozomiさんたちの狩猟活動が始まった。

その中で、忘れられないことがある、という。初めて罠にかかったイノシシの、止め刺し(とどめを刺すこと)を行ったときのことだ。鉄パイプで殴打して気絶させ、ナイフで心臓を突いたのだが、必要以上に苦しませてしまったのだという。

「心臓ではなく、肺の辺りを何回も刺してしまったんです。気絶していたイノシシも、痛みで意識が戻って悲鳴を上げ、あちこちから血も出る。パニックになって大号泣する私の目の前で、イノシシは死んでいきました。ものすごく反省して、次のイノシシには絶対に同じ苦しみを与えない、と強く思いました」

いただく命に感謝しながら、仕留めたイノシシを処理する(写真:Nozomiさん提供)

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【新米だから、という言い訳は許されない】

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