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「獣を殺すな!」「同じ目に遭わせてやる」「メイクするのは命への冒涜」と苦情が相次ぎ…それでも《現役・女性ハンター》が"狩猟を辞めない"理由

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  • 肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト
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だがもちろん、すぐに実現させるのは難しい。そこで人にとって重要な指針になるのが、厚労省や環境省が発表する、信頼できるデータだ。

クマの出没の可能性が高いエリアに足を踏み入れる場合は、クマよけ鈴やクマよけスプレーの携帯を必須とするなど、できる限りの対策を個人でするべきだとNozomiさんは続ける。

クマが人里にまで下りてくる現状を、被害の多い秋田県の鈴木健太知事は「異常事態」と訴えた。確かに従来の常識が通用しない、予測不能の状況だからこそ、定量的なデータは対策をするうえで重要だろう。

そもそも、なぜ害獣が人里に下りてくるようになったのか。さまざまな要因があるが、その1つが「農家を廃業する人の増加」だと指摘する。

「山のすそで農業をしていた人が辞めていって、耕作放棄地がに増えています。近くにはエサになりうるゴミもあるし、温かいし、野生動物にとって耕作放棄地は居心地がいい。だから人里に出てくるようになったのだと思います」

Nozomiさんが暮らしている茨城県の農村(写真:Nozomiさん提供)

「なぜ殺した」「内臓を出してやる」

その背景には、農家が直面している厳しい現実がある。体力が必要な仕事に加え、高齢化や後継者不足、肥料の高騰、外的要因に左右される不安定さなど、事業として成立させづらいのだ。志を持って参入する若者もいるが、厳しい現実を知り撤退してしまうことも少なくない。

助成制度はあるものの、その存在を知らず、すべての負担を抱えてしまう人もいるという。Nozomiさんはインフルエンサーとして、農家や猟師を志す人への有用な情報発信も、積極的に行っていきたいと話す。

「農業や猟師になる方が増えるようなお手伝いをしていきたいです。猟師になったとして、すぐに獲物をたくさん狩るのは難しいと思うけれど、山のすそで活動していただくだけで意味があると思いますから」

とはいえ、Nozomiさんの活動に、必ずしも賛同する人ばかりではない。

クマの駆除を行った自治体に「なぜ殺した」「殺すな」とクレームが相次いだ事例があったが、Nozomiさんのもとへも同様の声があったという。

猟具を構えてイノシシに近寄るNozomiさん(写真:Nozomiさん提供)

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【メイクをした状態で猟場に入ったNozomiさんに…】

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