血圧対策の「新定説」として注目度が急上昇…【高血圧】の人が今すぐ意識すべき"ナトカリ比"とは?

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なぜなら、塩分を過剰に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が高まり、体内の水分を血管に引き込んでしまいます。それによって、血液量が増加するため、心拍出量が増え、さらには血管を収縮させる――。その結果として血圧が上昇するのです。

一方で、カリウムは細胞の中から外へ出ていくことで、ナトリウムとペアになって電気信号を生み出します。これにより神経が正しくはたらき、筋肉がスムーズに収縮し、心臓が規則正しい鼓動を保ちます。

そのため、もしもカリウムが不足すると、筋肉が痙攣したり、心臓のリズムが乱れたりすることがあります。

さらに加えると、カリウムには、余分なナトリウムを体の外に出す作用もあります。腎臓を通じてナトリウムの排出を助けながら血管を拡張させるため、血圧を下げる方向にはたらくのです。そのため、カリウムは"天然の降圧剤"とも呼ばれています。

このように、ナトリウムは「血圧を上げる」、カリウムは「血圧を下げる」という正反対の動きをしながらも、協力しあって体を調整しているのです。高血圧に悩む人が多いのは、このナトリウムとカリウムのバランスが崩れているからです。

血圧対策の新定説として注目の「ナトカリ比」

ナトリウムを過剰に摂取した場合、ナトリウムを体外に排出する作用のあるカリウムの摂取量を多くすることで、体外にナトリウムを排出してナトリウムとカリウムのバランスが整います。

これによって過剰になった血液量が調節され、血圧も安定していきます。この体内のナトリウムとカリウムの比率のことを"ナトカリ比"と呼んでいます。

体内のナトカリ比を測定することは難しいため、単純に外来で1回だけ採尿する尿(随時尿)のナトリウム量とカリウム量を測定し、ナトリウム濃度をカリウム濃度で割った比率をもってナトカリ比の値としている医療機関が多いと思われます。

それに対して、私の勤務するいくつかの医療機関では、厳密に24時間蓄尿を行って、24時間尿に含まれるナトリウムとカリウムの濃度を測定し、その比率をもってナトカリ比を算出しています。

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