生魚売り場の焼き魚、野菜売り場のカットサラダ…スーパーの「生鮮惣菜」が展開する"最強の中食"事情
総務省の家計調査では「調理食品」に分類される惣菜。在宅時間が伸びたり、外食が敬遠されたりして、20年は「手作り」復活の兆しが見られ、スーパーマーケットの惣菜部門は秋ごろまで苦戦した。
だが、「料理疲れ」もあって、惣菜の伸びが21年以降顕著になった。
惣菜市場はコロナ禍による特殊要因を除き、右肩上がりで拡大している。日本惣菜協会の「惣菜白書2025」によると、24年の惣菜の市場規模は前年比2.8%増の11兆2882億円と、初めて11兆円を突破した。
惣菜・中食市場を牽引してきたのはコンビニエンスストアだ。24年もコンビニが市場構成比31.2%でトップの販売チャネルだが、ここ数年はスーパーマーケット(30%)が猛追している。
スーパーマーケットは下処理などを一括で行うプロセスセンター(集中加工場)の活用をテコに効率化を進める一方、生鮮部門との連携でメニューの幅を広げる。
中食市場の成長に伴い、弁当、サラダ、天ぷら・フライなどの購入回数も増加している。手軽に食べられることはもちろん、栄養バランスも考慮されたものが忙しい現代人に受けている。
求められる「家庭で作りづらい」料理
日本惣菜協会の消費者調査(24年2月)によると、今後購入したいと思う惣菜の1位は男女ともに「家庭では作りづらい惣菜」。2位は男性が「栄養バランスがとれた惣菜」、女性が「野菜が多く含まれた惣菜」だったが、1位と2位には大きな開きがあった。
下処理や調理に手間や時間がかかるメニューを惣菜でまかないたいという「タイパ」ニーズが根強いことがうかがえる。
実際、惣菜の利用目的について、「調理時間の節約」を挙げたのは男性で約63%、女性で約77%に達した。企業側の取り組みの中で、「手間なし」「時短」の価値に再度注目していくことが大切だ。これらの価値は冷凍食品や加工食品でも追求されているからだ。
スーパーマーケット業界では「生鮮惣菜」への取り組みが目立つ。
「惣菜白書2024」の調査でも、食品スーパーで惣菜を販売している割合は精肉売り場で約70%、鮮魚売り場で約83%に及ぶ。青果売り場では野菜を使ったカップサラダや蒸し野菜、鮮魚売り場では新鮮な魚介類を使ったにぎり寿司や焼き魚、精肉売り場では店内で調理した味付け肉やローストビーフサラダなどを販売する。



















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