生魚売り場の焼き魚、野菜売り場のカットサラダ…スーパーの「生鮮惣菜」が展開する"最強の中食"事情

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惣菜部門の商品は、来店客のライフスタイルや食習慣に合わせて多様化している。定番の唐揚げや天ぷら、煮物に加え、最近ではガパオライスや地中海風サラダといった、家庭では作りにくく高級感のある料理が注目されている。

地域性を反映した商品や、季節限定メニューを取り入れる店舗も増えている。

たとえば、夏には冷やし中華やサラダうどん、冬には鍋セットやおでんが売り場の中心となる。惣菜部門は来店客に新しいメニュー提案をする場としての役割も担っているのだ。

惣菜売り場の配置は、来店客の購買行動を意識して工夫されている。

住宅地や郊外型店舗では、青果、鮮魚、精肉の生鮮食品を購入した後に惣菜を選ぶ流れが一般的だ。一方、駅前や商業地区では、仕事帰りの需要を意識して、惣菜売り場を入り口近くに配置することが多い。

惣菜の陳列方法も変化している。「クロスマーチャンダイジング」と呼ばれる手法では、惣菜を関連商品と一緒に並べ、買いやすさを向上させている。唐揚げの横にサラダやドレッシングを並べたり、寿司の隣にインスタントのお吸い物を配置したりすることで、買い上げ点数を増やす工夫だ。

コロナ禍の「料理疲れ」が影響

冷凍食品需要の高まりは、ライフスタイルの変化によるところも大きい。

女性の社会進出が広がった結果、夫婦共働きが一般的となり、調理に割く時間は相対的に減った。また、コロナ禍によって在宅時間が増加して家で食事をとる機会が増えたものの、日々の食卓に出すメニューのレパートリーに悩む消費者も増えた。

そうしたなか、冷凍食品や惣菜などの簡便商品は「下ごしらえ不要」「フライパンで炒めるだけ」「レンジで温めるだけ」で調理の手間を省くことができ、専門店のような本格的な味も手軽に楽しめるとあって、需要が伸びたのは当然のことだろう。

簡便・時短ニーズが高まる中、メニューの多様化が進む惣菜(東京・恵比寿のライフ)(画像:『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』より)
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