「テレビは手遅れ」かねてから"テレビに諦観"の松本人志が立ち上げた『ダウンタウン+』に人気芸人が続々出演するワケ

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「7:3トーク」の「小峠英二編」でも、小峠が「兄貴ももちろんですし、親父ももちろん、母方の爺ちゃん、父方の爺ちゃん、全員ハゲてます」「葬式のときとかヤバいっすよ、マジで全国からハゲが集まってくる」と“髪の薄い家系”の話でひとしきり笑わせると、さらに松本が「お父さんなんてもう骨見えてたもんな」と飛躍させて見る者の腹をえぐる。この手のアドリブに関しては、圧倒的だと言わざるを得ない。

小峠英二と松本人志(写真:ダウンタウン+公式Instagram)
小峠英二と松本人志(写真:DOWNTOWN+公式Instagramより)

こうした松本のスタンスはどう培われたのか。それは小峠とのトークの中で、松本が語った言葉にある気がしてならなかった。『キングオブコントの会』(TBS系)のコントで共演した小峠は、松本が台本上のセリフを一切言わないことに驚いた。しかし、松本にとっては、セリフを覚えて本番に臨むことのほうが「恥ずかしい」という。

台本書いたらそれはコメディーだから

「俺、台本見てないねん別に。『自分がこんなんしたい』っていうのを誰かが台本にしてくれてんねんけど、それを見てないねん、いちいち。もう恥ずかしい、自分の言ったことが活字になってるのが。(中略)堂々としといたらええねん、何とでもなんねんて」

今年9月、『有働Times』(テレビ朝日系)に出演したコント55号の萩本欽一は「台本書いたらコントじゃない。台本書いたらそれはコメディーだから。出て行ったらやるのがコント」と言及し、2022年11月19日掲載『東洋経済オンライン』の取材でダチョウ俱楽部・肥後克広は「コントの場合はアドリブ合戦になるケースもあるし、何よりもお客さんを含めて成立するところがある」と芝居とコントの違いを語っている。

つまり、お笑い第三世代までの芸人の多くが、ネタの核心は「台本の精度にある」と考えておらず、「本番中に笑いの最大値を叩き出すことにある」と捉えている。その“構え”のようなものが、見る者の絶対的な安心感を生み出すのかもしれない。

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