クマに襲われた人たちの"深刻な現状"――「命に別状はない」ではすまされない体と心に残る深い傷。"クマ外傷"治療にあたる救急医から学ぶこと
そうしてクマが立ち去ったらどうすればいいか。
「まずは横を向いて流血による窒息を防ぎ、可能なら傷を圧迫止血して、救急車や助けを呼んでください。体の部位が取れた場合、縫合できるかどうかはわかりませんが、できたら持ってきてください。タオルに包んでも、そのままでも構いません」
そのうえで、「クマに襲われても命は助かることが多いので、諦めないでほしい」と中永さんは言う。
これまでなかった「術後感染」
今年のクマの人的被害は過去最高だった2023年と同じくらい多い。
中永さんらが診た件数でも、23年は20例だったが、今年は現時点で18例。11月になってもクマ被害が多く発生している点が、23年と異なるそうだ。
中永さんが1つ気になっているのが、今年はクマ外傷によって感染を起こす事例が多い点だ。
クマ外傷では全身麻酔下で傷を大量の水で徹底的に洗い、破傷風ワクチンや抗菌薬を投与する。こうした処置をしてから、傷の処置を行う。
これまではこうした感染対策を行えばよかったが、今年は「それでは対応できない術後感染が起こっている」と中永さん。
「山の中にいるクマが持っている菌は、せいぜい土の中にいる細菌くらい。それが人里近くで暮らすようになり、生ゴミなどをあさるようになった結果、菌の種類が変わってきたのではないかと思っていて、今調べているところです」
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