首都圏で《正社員共働き世帯》の比率が高い地域はどこ? 目黒区、世田谷区の「共働き比率」が低い理由とは
対して、目黒区と世田谷区では、世帯主が比較的高い収入を得ている家庭が多く、落ち着いた住環境も相まって、収入増よりも時間的なゆとりを重視する傾向があると考えられます。
例えば、2024年に目黒区が就学前児童の保護者(1,136人)に実施したアンケート※2では、フルタイム以外で働いている母親(172人)のフルタイムへの転職・転換希望は32%で、品川区のアンケート結果(47%)よりもかなり低い結果となりました。こうした仕事観の違いに加え、2010年代に深刻な保育所不足が生じ、待機児童問題が報じられたことによる「負のイメージ」が影響した可能性もあります。
郊外では都心から離れるほど「正社員共働き世帯の割合」は下がる傾向にありますが、東急東横線、JR南武線、JR中央線の沿線や、さいたま市の一部(浦和区)のように、40%に迫る地域もあります。これらの地域では都心アクセスの速達性や、ファミリー向けの住宅・教育環境、さらに主要駅周辺の商業利便性などが高く評価され、駅前の好立地を中心に、都心勤務の共働きファミリーの転入が続いています。
首都圏以外にも「働く母親が多い街」がある
首都圏以外の大都市圏では「正社員共働き世帯」の割合は比較的低く、世帯主の配偶者が専業主婦やパートタイマーの世帯が一般的です(図5、6)。これにはいくつかの要因がありますが、特に以下の2点が主に作用していると考えられます。
②情報通信、金融保険、専門サービスなど、正規雇用の受け皿が相対的に少ない産業構造
これに対し、大都市圏以外でも東北から北陸にかけての日本海側、山陰、そして四国(高知、徳島)と九州(佐賀、熊本)の一部では「正社員共働き」の割合が高めです(図7)。個々の地域によって傾向が異なるため、一概に論ずることは難しいものの、通勤時間の短さや保育園の入りやすさに加え、日本海側では3世代同居・近居による手厚い子育て支援が女性の社会参加を促しているという見方もあります。



















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