国連気候会議から30年が経過、その間も化石燃料の消費量は増加し続けており地球温暖化対策は課題だらけ
地球の平均気温の上昇は1.5度を超えた年もあり、23年と24年は観測史上でも最も高温の年となった。ただし、パリ協定の基準である30年移動平均では、なお1.5度の上昇を下回る。
「不幸なことに、目標を超えてしまうことは避けられないだろう」と語るのは、カリブ共同体(カリコム)の気候特使で、セントルシアの元エネルギー相、ジェームズ・フレッチャー氏。「1.5度を上回る温暖化は、小さな島々の途上国にとって壊滅的だ」と続ける。
スティール氏は、COPのプロセスがなければ、世界の気温は壊滅的ともいえる5度上昇に向かっていたはずだと指摘した。現在の見通しは3度未満の上昇だという。
データセンターの影響
一方で、地球温暖化の主な原因である化石燃料の消費は、高止まりが続く。けん引するのは経済成長に加え、人工知能を支えるデータセンターの電力需要だ。
国際エネルギー機関(IEA)の見通しでは、燃焼時に最も汚染度の高い化石燃料の一つである石炭の需要は、27年まで記録的水準付近で推移。中国やインドなど新興国での需要増が、他の地域の減少を相殺する。他方で、太陽光と風力の導入は加速し、電気自動車(EV)の世界販売は急伸、エネルギー効率も全体として改善している。
IEAのデータによると、クリーンエネルギーへの世界の投資額は昨年2.2兆ドル(約336兆6000億円)に達し、化石燃料への投資額1兆ドルを上回った。
「クリーンエネルギー技術が進歩し、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの価格が下がるとは、10年前には夢にも思わなかった」と、ドイツの元気候変動特使でCOPに何度も参加しているジェニファー・モーガン氏は語った。

















