こうした考え方は昔から一定数ありました。しかし昔は、先生が「それでも一度考えてみよう」「他の道もあるよ」と話すと、「先生の話も聞いて考えてみます」と受け止める生徒が多かった。
ところが最近では、「スマホで調べたら違いました」「YouTuberでこう言ってたんで」と、人の話よりもネット情報を優先するケースが増えているのだと言います。
情報を集めるのは悪いことではありません。しかし、「SNSでバズっていた“穴場の学部”だから」「インフルエンサーがここがおすすめだと言っていたから」といった、短絡的な理由で進路を決める生徒が増えてきているのは、かなり危険な状態だと言えるでしょう。
一度そうした情報に触れると、スマホのAIサジェスト機能によって、同じような“似た情報”ばかりがタイムラインに並ぶようになります。その結果として、生徒は多様な情報に触れにくくなり、“最初に見た世界”だけが真実のように思えてしまう危険性があります。自分の興味・能力・適性よりも、「ネットで話題の進路」が優先されるのです。
「先生を信じられない」時代の進路指導
さらに深刻なのが、先生への信頼が揺らいでいること。SNSでは「先生の進路指導が間違っていた」という投稿や、「進路ミス」系のショート動画がバズることもあります。
もちろん現場に課題がないわけではありませんが、そうした断片的な情報だけで「先生の言うことは信用できない」と決めつけてしまう風潮は、教育現場に大きな影を落としています。
ここは個人的に、本当に難しい話だと思っています。一部の先生が、間違った進路指導をしてしまっていたケースというのは実際にある話であり、それらが情報拡散されることを否定する気にはなりません。
ですが、一部の話だけを切り取って、「先生はみんな進路指導で嘘を吐く存在なんだ」と考えられてしまっている面があり、真面目にやっている先生やしっかりと生徒のためを思って進路指導している先生が否定されるケースもかなり多くなってきています。


















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