ジリ貧のフジテレビ、視聴率は盛り返せるか テレビ単体が上期赤字、営業費に大ナタ

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ただし、これらをフジテレビの苦戦が吹き飛ばした。フジテレビの単体業績は、売上高が前年同期比6.6%減の1466億円、営業益は10億円の赤字(前年同期は40億円の黒字)に終わった。視聴率の低迷から、放送収入は計画を約90億円下回った。番組制作費を含む経費削減を進めたが、バレボール・ワールドカップの放送や、「お台場夢大陸」(7~8月に開催された本社屋周辺の夏祭りイベント)のコスト負担もあり、大幅な減収減益となった。

上期の進捗を受けて、フジメディアは通期の業績予想を下方修正。売上高は従来予想比260億円減の6440億円、営業利益は同89億円減の213億円とした。このうち、フジテレビによる影響額は売上高でマイナス243億円、営業利益でマイナス95億円だ。「足元の視聴率を踏まえると、今期中のスポット収入は慎重に予想せざるを得ない」(嘉納社長)。

当然、今後の焦点はフジテレビのテコ入れだ。嘉納社長は、「来年度、仮に広告収入が伸ばせない環境になっても、しっかりとした増益ができるように体質改善を実行する」と宣言した。

下期は営業費用を100億円削減する。各費用の見直しと同時に、進行中のプロジェクトも採算や成長性を検証して必要な処置を進める。番組制作費は前期に比べて数%削減する方針だが、番組のクオリティに影響がでないよう、メリハリをつけて効率的に進めるという。

視聴率回復への道筋は?

しかし、根本的な課題は視聴率の回復だ。嘉納社長は「徐々に明るい兆しも見え始めている」と語った。10月の番組改変ではキッズ層や10代、20~40代向けにバラエティを投入。石原さとみと山下智久が主演の月9ドラマ「5→9 ~私に恋したお坊さん~」は初回視聴率12.6%でスタートし、F1層(20~34歳の女性)の高い支持を得ている。

また、昨年秋にスタートした月曜20時のバラエティ「痛快TV スカッとジャパン」もキッズの人気をきっかけに、長期でファミリー層まで人気が広がってきたという。

持ち株会社も、フジテレビの亀山千広社長や役員とつねに意見を交換し、一体となって編成の改革に臨んでいる。ただし、依然として回復を喜べる水準に達していないのが実情だ。さらに、ライバルは強い。現在トップを走る日本テレビは、上期にすべての時間帯で視聴率首位を獲得し、すべての時間帯で視聴率を上積みしている。

どんな改善策を示したとしても、スポンサー企業が評価するのは視聴率などの結果でしかない。周辺事業が好調に推移しているだけに、今後はフジテレビのテコ入れの結果が、よりシビアに問われることになりそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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