Netflix世界3位!小栗旬・赤西仁出演の《匿名の恋人たち》が海外でもウケる訳。王道ロマンスかと思いきや…「ビターな恋愛」が琴線に触れる

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自らアイデアを持ち込み、複数の選択肢を提示する韓国スタッフの仕事スタイルを目の当たりにし、監督は「方向性さえ共有しておけば、私の方であとはいくつもの案の中から選ぶだけ。すごく快適でした」と振り返っていました。その手法によって、演出そのものに集中でき、日本チームの繊細な演技指導とも自然に融合して、完成度が上がっていったのかもしれません。

理想から出発する韓国式の発想と、現実を丁寧に積み上げる日本式の手仕事。その両方が混ざり合い、あらゆるシーンでそれが光や質感にも表れています。月川監督は「この経験は日本の制作文化を見直すきっかけになった」とも語り、静かに手応えを口にしていました。

匿名の恋人たち
日韓共同で作られた本作。あらゆるシーンの見せ方にこだわりがある。Netflixシリーズ「匿名の恋人たち」独占配信中(画像:Netflix)

“贅沢なチョコレート”のようなドラマ

この作品で大切にしていたのは、懐かしさと新しさの同居でした。

かつてのトレンディドラマを思わせるような王道のロマンスでありながら、その中に、現代の人間関係や心の距離の描き方をそっと織り込んでいるというもの。伝統に則りながらも新しいものを作りたいという思いは、主人公たちの姿とも重なります。

強烈な刺激を与える作品ではなく、時間をかけて味わうほどに深みが増す、贅沢なチョコレートのようなドラマなのです。

【もっと読む】Netflix《今際の国のアリス》世界1位浮上は"快挙"か"試練"か。日本発では"圧倒的なブランド力"を誇りながら、「初週で1位」獲れない背景を解説 では、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が、『今際の国のアリス』シーズン3について詳細にレビューしている。
長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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