Netflix世界3位!小栗旬・赤西仁出演の《匿名の恋人たち》が海外でもウケる訳。王道ロマンスかと思いきや…「ビターな恋愛」が琴線に触れる

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一方のハナには、才能を認めて導く師匠の健二(奥田瑛二)がいて、チーフショコラティエの元美(伊藤歩)ら仲間たちと日々の仕事に向き合っています。誰もがそれぞれの距離の取り方に悩み、恋愛ドラマのようでいて、人のつながり方を描いた群像劇でもあります。

恋愛ドラマへの出演は久しぶりとなる小栗旬さんがこの作品を選んだのは、ただの甘いラブストーリーではなかったからだと思います。経験を重ねた人がもう一度心を開くときの戸惑いを、少し笑いを誘うような自然さで見せています。その演技に作為がなく、見ている側の心を軽くさせます。

赤西仁さんをはじめ、不器用さを抱えた登場人物たちの演技にも人間味を感じます。誰もが“匿名”の関係を生きる今の時代に、本音を伝えることの難しさをそっと映しているのです。

匿名の恋人たち
恋愛ドラマのようでいて、人のつながりを描いた群像劇のような作品だ。左から小栗旬、ハン・ヒョジュ、中村ゆり、赤西仁。Netflixシリーズ「匿名の恋人たち」独占配信中(画像:Netflix)

映画『パラサイト』のクリエイターが集結

この繊細なトーンが成立した理由としては、月川翔監督のもとに集まった制作チームの構成にあります。韓国で企画が立ち上がり、日本の演出に『君の膵臓をたべたい』の月川監督を迎えるという、珍しい形で始まりました。

企画したのは、韓国を代表する制作会社ヨンフィルムです。中規模の実写映画で高い評価を得てきた実力派集団で、近年はNetflix向けオリジナル作品にも積極的に取り組んでいます。今回、フランス映画『匿名レンアイ相談所』を原作に、日本語ドラマとして挑戦したのは同社にとっても新しい試みでした。

韓国チームは、企画・脚本・美術・編集といったクリエイティブ部門を主導し、それぞれの分野に第一線のプロフェッショナルを揃えています。美術のイ・ハジュン氏、編集のヤン・ジンモ氏は、いずれも映画『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞に名を連ねたトップクリエイターです。

一方、日本チームは月川監督を筆頭に、『シン・ゴジラ』で日本アカデミー賞最優秀撮影賞の受賞実績のある撮影監督の山田康介氏らが、現場の演出とキャストの芝居を支えるという役割を担っています。

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