10月21日に高市早苗内閣が発足した。その前日に、自民党は日本維新の会と連立政権合意書を取り交わし、自維連立政権を樹立したものの、日本維新の会は閣外協力という立場をとった。
その結果、大臣・副大臣・政務官はみな、自民党議員で占めることとなった。現行の政務三役制となった2001年の省庁再編以降、初めてのことである。
高市内閣の船出は、ガソリン税の暫定税率廃止、高校授業料無償化、防衛費の増額から始まりそうである。
税収上振れ分をアテにした用途が多すぎる
最大の問題は、財源である。今年度に使えそうな税収の上振れ分はある。2024年度決算の純剰余金は約2.2兆円だが、その2分の1を下回らない額を公債償還に充てることとされているため、約1.1兆円が使える財源とみられる。
しかし、ガソリン税の暫定税率廃止で失われる税収の穴埋めにも、高校授業料無償化の財源にも、防衛費の増額の財源にもこの税収の上振れ分を使おうとすれば、足りないのではないか。
高市首相は、10月24日の所信表明演説で、「国家安全保障戦略に定める『対GDP比2%水準』について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じます」と明言した。
2022年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」には、「27年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせ、そのための予算水準が現在の国内総生産(GDP)の2%に達するよう、所要の措置を講ずる」と記されており、所信表明演説でのこの件の根拠となっている。
「政府経済見通し」によると、25年度の名目GDP(国内総生産)は、629.3兆円である。その2%は12.5兆円となる。


















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