高市政権は最初の難関「防衛費増額」をどう賄うか?「GDP比2%」を前倒しで実現するやり繰りは、復興増税の転用か赤字国債か

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ただ、25年度に防衛力強化資金を使うと、それだけ26年度以降に使える資金が減ってしまう。

加えて、高市首相は所信表明演説で、26年中に防衛三文書を改定することを目指し、検討を開始することを言明した。

昨今のわが国を取り巻く安全保障環境や、アメリカからの防衛力整備の要請を踏まえると、改定する防衛三文書で、防衛費は増額されこそすれ、減額されることはないだろう。増額するなら、そのための財源はどうするのか。

震災復興の所得増税分を防衛費に転用する法改正

今のところ、現行の防衛三文書を前提とした防衛費の財源は工面できていることになっている。ただ、復興特別所得税の一部を防衛費に使途を変更する部分が残されている。いわゆる「防衛増税」の所得税の部分である。

確かに、法人税とたばこ税は、「防衛増税」としてすでに決定している。これは、文字通り税率を引き上げる形での増税である。しかし、所得税については、目先は増税ではない。なぜなら、すでに復興特別所得税として徴収されているもののうち一部を防衛財源にするというだけである。

もちろん、現行制度では、復興特別所得税は復興債の償還に充てられることとなっているから、その使途を変更するための税制改正は必要である。しかし、使途を変えるだけで税率を上げるものではないから、家計に負担増を強いるものではない。

26年に防衛三文書を改定して防衛費を増やすなら、少なくともこの所得税制改正を行わなければ、財源に穴が開く。

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