8月31日に、2023年度予算の概算要求が締め切られる。各省庁が、目玉政策を推し進めようと予算要求にしのぎを削る中、防衛省は、過去最大の5兆5947億円を計上したうえで、具体的な金額を示さない「事項要求」を多数盛り込む概算要求案を作成した。
事項要求は、今後の来年度予算編成の折衝の中で、金額を具体化していき、最終的に12月の予算政府案を閣議決定する際に金額が確定するもので、概算要求提出段階ではいくらになるか、未確定として要求するものである。
25日に与党はこれを了承した。今年6月に閣議決定された「骨太方針2022」で、防衛力の抜本的強化をうたったことを追い風にした形だ。
参院選前の議論では、今後の防衛費について、日本もNATO(北大西洋条約機構)諸国が掲げる対GDP比2%までとにかく増額すべきとの意見と、額ありきではなく整備する防衛力の内容を積み上げて防衛費の水準を決めるべきとの意見があった。
浜田新防衛相は「積み上げ」論者
その後、第2次岸田文雄内閣は、8月10日に内閣改造を行い、浜田靖一氏が防衛大臣に就任した。浜田防衛相は、防衛費のあり方について「積み上げ」論者とみられる。
今後、2023年度予算編成が本格化するが、防衛費を増額するにあたり、その財源をどうするかも焦点となる。
今般の概算要求で、防衛費について事項要求を多数盛り込むことが認められた。これは、予算の大幅増額につながるものであり、異例のことといっていい。もちろん、ウクライナ情勢や厳しさを増す東アジアの安全保障環境を踏まえて、予算増額を容認するという背景があることは間違いない。しかし、それだけが理由ではなさそうだ。
それは、防衛費の追加増額のすべてを国債発行で賄うのではなく、その一部を増税して賄ったり、来年度は国債を増発するとしても後年度の償還財源の確保の見込みをあらかじめ立てたりすることができれば、その増額を容認するという判断もあろう。つまり、追加の税財源の確保ができれば、防衛費の増額を容認するという考え方である。
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