「『買う』『欲しい』と言ったのに…」なぜ顧客はウソをつく?3つの構造的理由

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新規事業のヒアリングで、とてもよく見かける「事前の顧客ヒアリングでは、みんな買うと言っていたのに、実際にリリースしたらまったく売れなかった」という事故があります。

調査が甘かったわけではなく、むしろ「しっかりと、たくさんの人たちに、深くインタビューした結果」として「これは売れる」と判断し、販売を開始するわけですが、売れないのです。

なぜ、事前のヒアリング結果と異なる結末が、販売開始後に訪れるのか。

それは、事前のヒアリング時に、ヒアリング相手が「ウソを言った」からなわけです。本当は買わないのに「リリースされたら買う」と、だましてくるのです。

「好かれたい」気持ちがヒアリング結果をねじまげる

だから、判断を間違えてしまうのですが、なぜ彼らはそんなひどいウソをつくのでしょうか。理由は、そう、「好かれたいから」なのです。

「協力してあげたい」「何かいいことを言ってあげたい」という気持ちがあるので、前提として「好意的に解釈して反応をしてしまう」のです。

【3】評価できるのは商品ではなくプレゼンでしかない

【2】に輪をかけてヒアリング結果をねじまげてしまう構造が、新規事業のヒアリングでは「商品を見せてプレゼンできない」ことです。

まだ出来上がっていないもののヒアリングだから、常に、ヒアリングで評価してもらえる対象は、商品やサービス自体ではなく「プレゼン」になってしまうのです。

商品ではなく商品のことを説明する資料やトークのみがヒアリング相手にとって評価する対象となります。本来は、その資料やトークをフラットに厳しい目で見て意味ある反応をしてほしいのですが、それはとても難しいのです。

新規事業の実践者たちは、よっぽど気をつけない限り、いつだって自分たちの新規事業案の説明には力がこもりがちになります。

「自分たちは世の中をよくするためにこんな新規事業を考えていて」と熱くプレゼンしてしまうのですが、前提として協力姿勢にあり「好かれたい」と思ってくれている相手に対してそれをやってしまうと、ウソをつかれてしまうのです。

本当は買うわけじゃないのに、気持ちがほだされて「素晴らしいですね、販売されたら買うと思います」という言葉が引き出されてしまうのです。

以上が、顧客ヒアリングの不都合な真実です。それでは、どうすればいいのでしょうか。

構造的にウソをついてくる相手に対して、どうやってのぞめば正しく意味ある回答を得ることができるのでしょうか。

【この記事の後編】
「顧客はウソをつく」「何を聞けばいい?」ビジネス現場で超重要な「深いヒアリングスキル」
麻生 要一 『新規事業の経営論』著者・アルファドライブ代表取締役社長兼CEO

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あそう・よういち / Yoichi Aso

株式会社アルファドライブ代表取締役社長兼CEO。

東京大学経済学部卒業後、新卒で株式会社リクルートへ入社。社内起業家として株式会社ニジボックスを立ち上げ、創業社長として150人規模まで企業規模を拡大後、リクルートホールディングスの新規事業開発室長に就任。1500の社内起業家チームの創業と、300社のスタートアップ企業の創業期を支援したのち、2018年に起業家に転身し、アルファドライブを創業。

アルファドライブは創業後7年で、200社を超える日本を代表する大手企業での新規事業開発を支援し、創出に携わった新規事業プロジェクト数は2万を超える。230を超える事業が本格的に立ち上がり、成長段階へと移行している。

また、アミューズ社外取締役、アシロ社外取締役などプロ経営者として複数の上場企業の役員も務め、投資家としての顔も持つ。

初の著書『新規事業の実践論』は5万部を超えるベストセラーになっており、待望の2作目となる『新規事業の経営論』は発売前に増刷が決まるなど、発売当初から大きな話題を呼んでいる。

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