顧客がつく「ウソ」とは何でしょうか。
新規事業の実践者たちに恨みでもあるのでしょうか。なぜ、ヒアリング先の顧客はそんなにひどいことをするのでしょうか。
もちろんヒアリングを受けてくれる顧客には、悪気などありません。ヒアリングに協力してくれているわけなので、むしろ好意的であり、協力してくれる前向きな姿勢があるはずです。
でも、その悪気がない協力的な姿勢の中にこそ「不都合な真実」が生まれてしまうのです。
これは非常にやっかいな事実です。
意識して回避する術を持たなければ、そこで生まれる会話は「ウソ」なので、すべての新規事業開発の実践者たちは「悪気のないヒアリング相手にだまされる」ことになります。
そして、結果的に「間違った情報をインプットして帰ってくる」という恐ろしい事態が起きてしまいます。
どれだけヒアリングを重ねても絶対に「深い深い顧客課題」にはたどり着けないし、そもそも「ウソ」を材料としてプランニングをしてしまうので、絶対に新規事業が出来上がらないのです。
なぜ顧客はウソをつく? 3つの構造的理由
それでは、なぜ「顧客ヒアリングの不都合な真実」は起きるのか。なぜヒアリング先の顧客は新規事業の実践者たちに対して「ウソをつく」なんてひどいことをしてくるのでしょうか。
その理由は、「新規事業のヒアリング」が、既存事業のヒアリングとは異なり、次の特徴を持ったものだからです。
それらの特徴が組み合わさった結果、その「新規事業のヒアリングのみが持つ特有の構造」によって、「悪気はないし、むしろ協力的な相手」が「ウソを言ってしまう」という悲劇が起きるのです。
新規事業のヒアリングとは、「新規事業」であるがゆえに、光を当てるべき課題は、既存のよく知られたものではありません。
それがゆえに、じつはヒアリング相手である「顧客(候補)」も、自分で自分が持つ「深い深い課題」を正しく認識していないのです。
自分でもわからない課題について、自ら言語化し、整理して相手に伝えることなどできるわけがありません。
しかし、ヒアリング相手である顧客(候補)は、積極的に「何か意味ある話をしてあげよう」という協力姿勢から、「自分でもよくわかっていないし、気づいてすらいない課題」について、話をします。
この構造を意識してヒアリング相手の言葉を受け取り、解釈をしていかないと、間違った「正しくないヒアリング回答」を持ち帰ってしまうことになります。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら