「『買う』『欲しい』と言ったのに…」なぜ顧客はウソをつく?3つの構造的理由

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顧客がつく「ウソ」とは何でしょうか。

新規事業の実践者たちに恨みでもあるのでしょうか。なぜ、ヒアリング先の顧客はそんなにひどいことをするのでしょうか。

もちろんヒアリングを受けてくれる顧客には、悪気などありません。ヒアリングに協力してくれているわけなので、むしろ好意的であり、協力してくれる前向きな姿勢があるはずです。

でも、その悪気がない協力的な姿勢の中にこそ「不都合な真実」が生まれてしまうのです。

これは非常にやっかいな事実です。

意識して回避する術を持たなければ、そこで生まれる会話は「ウソ」なので、すべての新規事業開発の実践者たちは「悪気のないヒアリング相手にだまされる」ことになります。

そして、結果的に「間違った情報をインプットして帰ってくる」という恐ろしい事態が起きてしまいます。

どれだけヒアリングを重ねても絶対に「深い深い顧客課題」にはたどり着けないし、そもそも「ウソ」を材料としてプランニングをしてしまうので、絶対に新規事業が出来上がらないのです。

なぜ顧客はウソをつく? 3つの構造的理由

それでは、なぜ「顧客ヒアリングの不都合な真実」は起きるのか。なぜヒアリング先の顧客は新規事業の実践者たちに対して「ウソをつく」なんてひどいことをしてくるのでしょうか。

その理由は、「新規事業のヒアリング」が、既存事業のヒアリングとは異なり、次の特徴を持ったものだからです。

それらの特徴が組み合わさった結果、その「新規事業のヒアリングのみが持つ特有の構造」によって、「悪気はないし、むしろ協力的な相手」が「ウソを言ってしまう」という悲劇が起きるのです。

【1】そもそも自分でも課題を理解していない

新規事業のヒアリングとは、「新規事業」であるがゆえに、光を当てるべき課題は、既存のよく知られたものではありません。

それがゆえに、じつはヒアリング相手である「顧客(候補)」も、自分で自分が持つ「深い深い課題」を正しく認識していないのです。

自分でもわからない課題について、自ら言語化し、整理して相手に伝えることなどできるわけがありません。

しかし、ヒアリング相手である顧客(候補)は、積極的に「何か意味ある話をしてあげよう」という協力姿勢から、「自分でもよくわかっていないし、気づいてすらいない課題」について、話をします。

この構造を意識してヒアリング相手の言葉を受け取り、解釈をしていかないと、間違った「正しくないヒアリング回答」を持ち帰ってしまうことになります。

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