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ビジネス #新規事業の経営論

「『買う』『欲しい』と言ったのに…」なぜ顧客はウソをつく?3つの構造的理由

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  • 麻生 要一 『新規事業の経営論』著者・アルファドライブ代表取締役社長兼CEO
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【2】嫌われたくない

新規事業のヒアリングとは、まだ立ち上がっていない事業のためのヒアリングです。

なので、「顧客ヒアリング」という言葉を使いながらも、ヒアリング相手は「顧客」ではありません。将来的に顧客になるかもしれない「顧客候補」であり「まだ自分たちとは何の関係もない相手」です。

まだ関係のない相手が、それでもみなさんのヒアリングに応じてくれる理由は何でしょうか。そこに、ヒアリングをするこちら側は意識しないけれどとても重要な「当然の前提」が理由として存在します。

ヒアリングに応じてくれるのは、みなさんのことが「好きだから」なのです。

好きという表現は極端でも、「何か協力してあげよう」という好意があるから、何の関係もないみなさんに対してわざわざ時間をつくり、丁寧に対応をしてくれるのです。

これは、謝礼等の金銭が介在する場合でも変わりません。

むしろ、金銭が絡むことにより、ヒアリング相手は、よりみなさんに対して「よいことをしてあげないといけない」というバイアスにとらわれることになります。

これが、新規事業のヒアリングをとても難しく混乱させる「特有の構造」を生み出します。

新規事業のヒアリングに特有の「プラスのバイアス」

新規事業のヒアリングとは、自分たちに対して「好かれたい」と思っている相手にしかヒアリングすることができないのです。

これが新規事業のヒアリングが持つ非常に特殊な構造です。

既存事業であれば、本当に怒っている顧客と対話する機会もあるでしょうし、恨みを持っているような関係者と会話する機会もありうると思います。

しかし、新規事業のヒアリングにおいては、まったく何の関係もない人たちに時間をつくってもらう必要があるため、必ず好意を持たれる相手としか会話ができないのです。

「好かれたい」という気持ち、それ自体は、大変ありがたいですよね。

たとえそれがみなさん個人に対してであっても、みなさんの名刺に記載の「社名」に対してであっても、好意を持ってくれるから協力を引き出せるわけで、それはとてもプラスなことです。

しかし、そのプラスのバイアスが、ヒアリング結果を濁す、非常にややこしい問題を生んでしまうのです。

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【事前のヒアリング結果と異なる結末が、販売開始後に訪れる】

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