1日6000台の生産能力を持つNEC米沢工場。法人顧客約2万種のカスタマイズに最短3日で応えるPC生産体制は、どのように構築しているのか

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米沢事業場で働くのは約1000名。うちNECPC社員は約300名だ。残る約700名は協力会社5社からの従業員。地域と一体となった生産体制を構築している。PC生産だけではない。2016年からサーバーのキッティングサービスも手がけ、事業領域を拡大した。

2025年4月1日、法人向けPC販売をNECから完全移管した。製造と販売の一体化で、顧客発注から最短3日で納品する即納体制を実現。「設計・部品・製造・品質保証のすべてを米沢に集約している。万が一の際も早期解決できる」。グループ会社でサーバー事業を統括するレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの張磊(チョウ・ライ)代表取締役社長はそう強調する。

米沢事業場が積極的に進めるのが、ロボットとAIを組み合わせた新生産システム「ABLAZE(アブレイズ)」だ。ノートPC生産ラインで作業を細分化。1人あたりの工程を従来の3分の1に削減した。人員は増やしながらも熟練工に依存しない体制を構築。通常ラインと比較して約3倍の生産台数を実現している。

NECPC ABLAZE
新型生産ライン「ABLAZE」で生産力拡大を目指す(筆者撮影)

ただし米沢が目指すのは、完全な無人工場ではない。法人顧客の注文パターンは約2万種類に及ぶ。その半数は1台しか製造されない固有の組み合わせだ。メモリ増設、SSD換装、独自ソフトウェアのインストール。多様なカスタマイズに対応するには、機械の効率と人間の柔軟性を組み合わせる必要がある。

ABLAZEプロジェクトは2018年、レノボから「もっとスマートな工場を目指さないか」と提案を受けたことから始まる。生産量の多いノートPC側からABLAZEの導入を始めた。2020年に前工程(部品の受け入れや運搬)と後工程(梱包や出荷)から自動化。2023年からは最も難しい組み立て工程のIT化に取り組む。現在第4段階まで進んで作業工程ベースでの自動化率45%を実現した。次の第5段階では2025年度末までに60%を目指す。

進化し続ける部品管理と受入検査

米沢事業場は4階建てで、1階ではデスクトップPCを、2階ではノートPCを生産している。生産比率はデスクトップ約3割、ノート約7割だ。

製品の品質は、部品の受け入れから始まる。米沢事業場では20年前から導入しているカンバン方式(トヨタ生産方式を応用した部品管理手法)を、QRコードでさらに効率化した。1階には毎日朝8時半から5ルートのトラックが部品を運び込む。

NECPC
トラックから運び込まれた部品はすべてパレットのQRコードで管理されている(筆者撮影)
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