京都のど真ん中に《生きた"団地歴史博物館"》 築70年超「京都の廃団地」に、なぜか人が殺到する理由
堀川団地は戦時中に建物疎開でにぎやかだった付近から住居や商店街が根こそぎなくなった跡地に建てられ、戦後復興に寄与した。
京都府並びに京都府住宅協会(現在の京都府住宅供給公社)によって建設された、戦後最初期の鉄筋コンクリート造による「下駄履き住宅団地」(店舗など商業施設の上層に住居がある団地)。
住居の設計は専門家によれば、京都の町家の特性を引き継いだ「立体型京町家」と名付けられている。この町家的な特性は後述するとして、注目すべきは立地である。
二条城に御所、京都府庁や文化庁などがある地域は、東京にたとえれば日比谷に団地があるようなもの。
そんな都市機能の中核、大通り沿いに城壁のように建った6棟は、日本各地に数多くある昭和の団地群と同じく、老朽化、住人の高齢化の対応策に悩んでいた。
紆余曲折を経て再生を遂げ、開催された「京都モダン建築祭」(22年から開催、25年は11月1〜9日)は、数多くの京都の近代のレトロモダンな建築の見学コースの中でも人気コースの1つになった。京都美術工芸大学・生川慶一郎教授による堀川団地のガイドツアーは、毎年すぐにソールドアウトするほど注目されている。
「昭和レトロの面影」をあえて残した
興味深いのは、目下、6棟の変化の過程が見られることなのだ。
最北端の堀川新文化ビルヂングは、18年に解体された旧上長者団地で、大垣書店が経営する、書店、印刷ショップ、カフェ、ギャラリーから成る複合文化施設となった。1階のカフェは学生から年配の方まで賑わっている。
中央の4棟――出水団地1棟、2棟、3棟、下立売団地は改修工事が行われ、リノベーションされた住戸には昔ながらの住人のほか、子育て世代、この団地でものづくりを行いたいアーティストやクリエイターなどが入居している。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら