「前々から胡散臭いと思ってた」の声も…退職代行サービス「モームリ」が家宅捜索も、「退職代行」は"今後も廃らない"理由
筆者がこれまで取材を通じて観察してきた1990年代から、管理職のあり方は大きく変わりつつある。特に、企業は総額人件費の管理を厳密に管理しようとしている点だ。
管理職数を適正規模にするために減らしたり、昇格基準を厳しくしたりしてきた。個々の管理職は一般職と同じくプレイヤーをしながら、マネジメントもする。仕事量が増えたために、部下への配慮や指導、育成、コミュニケーションが雑になり、パワハラに発展するケースもある。
「本人はこのような状況を踏まえ、人手が足りない中、退職を申し出ると強いしっぺ返しがくると察したのかもしれない。実際、時間的・精神的に余裕がない管理職や役員は少なくない。その中で苦しむ社員がいるとしたら、救済策の1つとしての退職代行ビジネスの必要性はあると思えなくもない。ただし、今回のような弁護士法をはじめ、法令違反の部分が仮にあるとするならばそこは当然認められない」
「モームリ」は何が問題だったのか
モームリはサービス開始当初は利用者からの依頼を受け、企業に「退職意思の通知代行」をしていた。だが、利用者の相談が次第に広くなる。未払い残業代の請求、パワハラ慰謝料の交渉、退職金の算定、有給休暇の消化交渉などだ。中には法律的な紛争解決もあったと思われる。
法律的な問題になりうると想定される場合は、利用者を顧問弁護士に紹介し、弁護士から紹介料を受け取っていた可能性がある。
モームリ側はHPで「当社は(退職意思の)『通知』に徹しているため、違法性は一切ございません」と主張していたが、警視庁はこれを違法なあっせんの疑い(弁護士法72条)があると判断した模様だ。
弁護士法72条では、弁護士資格を持たない者が報酬を得て法律事務(法律相談、交渉、契約書作成など)を行うこと、またはそのために弁護士をあっせんすることを禁じている。
利用者保護の観点からも問題がある。弁護士の資格のない者(この場合は、モームリ)が法律事務を行っていたとすると、誤ったアドバイスをして利用者に不利益をもたらすリスクがあることだ。


















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