必要なのは「外国人問題」の類型化《労働者・投資家・観光客の3分野で異なる処方箋》"強い外国人"と"弱い外国人"それぞれへの対応

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「強い外国人への反発」が、「弱い外国人いじめ」に転嫁されてしまう構図の転換を図るにはどうすればいいのか。大事なのは「外国人問題」を腑分けして考えることではないか、と伊藤教授は提案する。

外国人問題は3つの分野に分けられる

現在、問題視されている外国人問題は大きく、「労働者問題」と「投資家問題」と「観光客問題」の3分野に分けられる。この3つは扱う法律も異なる。例えば、労働者問題は主に出入国管理法だし、投資家を規制するのは主に外国為替及び外国貿易法(外為法)だ。

外国人企業経営者向けの在留資格「経営・管理」の許可基準の厳格化は、出入国管理法の改正によって行われるが、「投資家問題」の範疇でもあるだろう。また、10月1日に始まった「外免切り替え」の厳格化は道路交通法の改正で対応したが、他にも自治体の条例なども含め、関連する法規は多岐にわたる。

こうしたことを念頭に、伊藤教授は「いま急ぐべきは、混同されがちな『労働者問題』と『投資家問題』を切り分けて対応を考えること」だと訴え、「投資家問題の対象となる『強い外国人』には規制を強化し、労働者問題の当事者である『弱い外国人』とは共生できる環境を整備していく方向でのビジョンの構築」を唱える。

「外国人との共生」は、主に自治体やNPO、ボランティアに委ねられてきたのが実情だが、国の政策として「移民」を地域社会の一員としてどのように包摂していくのか真剣な議論が必要だ。

投資家など「強い外国人」に対する規制強化についても、世論感情だけでなく、そもそも「外国人限定」の問題として扱うのが相応なのかも含め、データや調査結果に基づく政策合理性が求められるのは言うまでもない。

伊藤教授は言う。

「『労働者問題』と『投資家問題』と『観光客問題』のそれぞれの分野のトラブルや課題がどういう状況で発生し、それがどんな形で人々の感情を刺激しているのかを整理して腑分けする。

そのうえで、それぞれに必要な処方箋を手当てすることで排外的感情をコントロールしやすくなるのではないでしょうか」

(AERA編集部・渡辺豪)

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