商店街も会社も屋上庭園もある「ひとつの街」だ…皇居のすぐ側、地下に"巨大な異空間"がある「生きた名建築」の真相

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フライヤーは、大手電子書籍会社メディアドゥのグループ会社として、2016年にこのビルに入居。井手隊長は2018年1月頃からパレスサイドビルで働き続けている。

まず最初に出てきたのは、意外にもこんな話だった。

「最近、地下にドラッグストアができて、みんな喜んでるんですよ」

皇居を望む名建築で働く誇り……みたいな話を勝手に想像していたが、 どこか肩の力の抜けた日常を話す井手隊長。

そう、ここはただのオフィスビルではなく、地下鉄直結で商店街も会社も屋上庭園もある“ひとつの街”なのだ。

他にも、地下1階にある「サントリアン」のカレーうどんが美味しいということや、プロントは穴場なのでオススメだということ、アカハン(赤坂飯店)の担々麺は外せないこと、「当然相席」がアカハンのローカルルールであることなどを教えてもらった。

ここは名店が多いため、隣接する大手町エリアなどで働く人も昼時に食べに来るそうだ。

「生きた名建築」として

60年近く続く “生きた名建築”として、新旧が溶け合い、人が集い、変化し続ける。パレスサイドビルは、渋イイオフィスビルのロールモデルだ。

だが今年4月、パレスサイドビルの再開発の可能性が報じられた。

この件について、広報の佐藤さんに率直に尋ねてみた。

「全国各地に所有する大型ビルについては、さまざまな活用方法で価値の最大化を図っていますが、個別の案件については従来から公表していません」

それが、ここに載せられる公式コメントになる。

ここからは、あくまで「筆者の印象」だが、現時点ではまださまざまな可能性を検討している段階にあり、すぐに何かが動くという状況ではなさそうである。

東京の真ん中で生き続けるこの名建築が、これからも長く、“働く場”として、“街”として、人々に愛され続けていくことを願いたい。

パレスサイドビルのペーパークラフト
福田さんから記念にいただいた、パレスサイドビルのペーパークラフト(筆者撮影)
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山田 窓 ライター

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やまだ・まど / Mado Yamada

平成元年生まれ。大学時代を京都で過ごす。60年代のビルやバブル時代の都市計画、奈良や京都の仏像など古いもの好きが高じてライターとなる。2020年からウェブサイト「デイリーポータルZ」を中心に執筆している。

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