商店街も会社も屋上庭園もある「ひとつの街」だ…皇居のすぐ側、地下に"巨大な異空間"がある「生きた名建築」の真相

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当時まだ30代だった建築家・林昌二の若さと情熱、そしてセンスが細部にまで行き届いているのだと思う。見れば見るほど「よくここまでやったな」と感心してしまう。

また、柔軟な発想から生まれた“遊び心”が感じられる場所もある。

地下1階の男女トイレ
地下1階の男女トイレ。隔てる大理石の壁をくり抜くように、丸窓があいている(筆者撮影)
地下1階の男女トイレ
林氏はかつてのインタビューで、トイレについて「見えて見えない設計というのが勘どころ」と語っている(筆者撮影)
丸窓
丸窓は、地下1階から駐車場の出口をのぞくようにも設けられている。こうしたディテールが、フロア同士をやわらかく、そして有機的につないでいるのだ(筆者撮影)
かつての派出所
お巡りさんの帽子のような外観がユニークな、かつての派出所。デザインした林氏は「いたずらです」と語ったという(筆者撮影)
6羽の鳩のオブジェ
9階の庇には、6羽の鳩のオブジェがある(筆者撮影)

この鳩も林氏の遊び心のひとつだ。

平和を願う意味合いとともに、かつて原稿や写真フィルムを運ぶために使っていた伝書鳩に由来するのだ。毎日新聞社にも「連絡部鳩係」という部署があり、なんと120羽もの鳩を飼育していたという。

しかし、通信技術の進化とともにその役目を終え、1964年の東京五輪を最後に引退。その記憶を今に伝えるオブジェだ。

機能性と美しさ、そしてちょっとした遊び心。どこを切り取っても、このビルにはつくり手の心が見える。

次は、そんなデザインの精神が息づくオフィスの内部へ入っていく。

毎日新聞社のオフィス内部へ、特別に入らせてもらう

毎日新聞社の1階受付
昔は有人だったという、毎日新聞社の1階受付。現在、3・4階が毎日新聞社のメインオフィスになっている(筆者撮影)
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