当時まだ30代だった建築家・林昌二の若さと情熱、そしてセンスが細部にまで行き届いているのだと思う。見れば見るほど「よくここまでやったな」と感心してしまう。
また、柔軟な発想から生まれた“遊び心”が感じられる場所もある。
この鳩も林氏の遊び心のひとつだ。
平和を願う意味合いとともに、かつて原稿や写真フィルムを運ぶために使っていた伝書鳩に由来するのだ。毎日新聞社にも「連絡部鳩係」という部署があり、なんと120羽もの鳩を飼育していたという。
しかし、通信技術の進化とともにその役目を終え、1964年の東京五輪を最後に引退。その記憶を今に伝えるオブジェだ。
機能性と美しさ、そしてちょっとした遊び心。どこを切り取っても、このビルにはつくり手の心が見える。
次は、そんなデザインの精神が息づくオフィスの内部へ入っていく。
毎日新聞社のオフィス内部へ、特別に入らせてもらう



















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