生体価格40万円の《プレーリードッグ》、飼い主に放置され"死にゆく準備"していた里子を迎えた女性の決断…地元農家に頼んで「自ら牧草栽培」

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「前の飼い主さんは海外出張が多い方で、向日葵は一人ぼっちの時間が長かったみたい。手をかけてもらっていない痕跡がいろいろあって……」

向日葵ちゃんの巻き爪
向日葵ちゃんは巻き爪になっている。運動が不足したり爪切りを怠ったりすると、爪の中の血管や神経も一緒に伸びてしまい、適切な長さに切れなくなってしまう。(写真提供:まる子さん)

犬や猫が飼えないからといって、小動物なら簡単に飼えるわけではない。プレーリードッグは、群れで生活する生き物だ。一人ぼっちの生活が、小さな向日葵ちゃんにとってどれほど過酷だったかは、想像に難くない。

ふとトマトをあげたことで取り払われた「壁」

まる子さんは急がず、ゆっくりと関係を築いた。1カ月ほど経ったある日。

「向日葵に、トマトを与えてみたんです。そしたら、じーっと私を見つめながら食べてくれたんです」

トマトを食べる向日葵ちゃん
トマトを食べる向日葵ちゃん(写真提供:まる子さん)

その時、向日葵ちゃんがまる子さんとの間に築いていた強固な壁が、すっと取り払われたのが手に取るようにわかった。壁が取り払われてからは、向日葵ちゃんはまる子さん一筋。本来の甘えん坊気質を発揮している。

「家で仕事をしているときは、別の部屋にいても怒らないくせに、ちょっと長く外出して帰ってくると、抱っこをねだって離れなくなるんです」

向日葵ちゃんのバックグラウンドに思いをはせる。その行動の意味が、擦りむいた傷を消毒したときのように、痛みを伴って心に染みた。

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