「事業と呼べるほどのものではないんですが、小動物の牧草に困っている飼い主さんあてに、牧草の販売を始めました。うちのちびたちにも食べさせていて、明らかに病院に行く回数は減りました」
まる子さんは、プレーリー界隈を中心に、安心安全な牧草を届けている。
扱いにくく、我がままで攻撃的でも、愛すべき伴侶
まる子さんは、2匹のプレーリードッグを見送った。そして今、向日葵ちゃんの他に2歳の女の子、茉莉ちゃんと暮らしている。向日葵ちゃんは現在8歳。今は元気だが、「そのとき」が来る気配をすでに感じ始めている。ページを1枚めくれば、別れの章が始まるかもしれない。
これからもプレーリードッグを飼い続けるのかと聞くと、2秒間の沈黙があった。
「……気持ちはあります。でも、難しいかもしれません。ブリーダーさんも頑張ってくれていますが、国内繁殖だけでは血が濃くなってしまうし、限界がある。遺伝病が出ると、幼いうちから病気になってしまったり、寿命が短くなったりしてしまうんです」
――もしかしたら、これで最後かもしれない。2秒間の沈黙が、迷いを表していた。

「牡丹に出会う前は、将来のことばかり憂いていました。相手に対して求めてばかりだったとも思います。『ここまでやったならこうなるはずだ』っていう、浅ましい期待もありました」
一筋縄ではいかないプレーリードッグとの暮らしで、まる子さんは見返りを期待せず、ただ与え続ける愛を知った。見返りを求めない愛情は、ときに奇跡を起こすこともある。向日葵ちゃんの壁が突然取り払われたときのように。
扱いにくく、我がままで、ときに攻撃的になる。それでもまる子さんは、プレーリードッグを伴侶に選んだ。これが人間ならすぐに「別れろ」と忠告するところだが、目の前でのろけるまる子さんを見ていると、「これでいい」と思えてくる。幸せの感じ方も家族の在り方も、一つではない。

・ペット可物件、もしくは管理会社に小動物の飼育を許可されていること
・賃貸の場合、明け渡し時の修繕費用を覚悟すること
・プレーリードッグ用のケージを用意し、給水器、エサ台、寝床を用意する
・2匹以上で飼うときは、相性に気を付けること
・プレーリードッグを診察できる動物病院がそばにあること
・病気になったときの医療費を確実に負担できるだけの経済力があること
・毎日部屋んぽさせ、こまめにコミュニケーションをとること
・定期的に爪切りをすること
・家の壁や家具が破壊されることを覚悟すること
・愛されなくても愛し続けること
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