広末涼子「事故ネタ」でTBSが謝罪、制作者に抜け落ちていた3つの思慮

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さらに言えば、交通事故を笑いのネタにすることは、被害者への配慮という点でも問題がある。幸いにも、今回の事故では大きな怪我を負った被害者はいなかったとされている。

しかし、本人も含めて被害を受けた人への精神的打撃は計り知れないものがあるし、一歩間違えれば大惨事になっていてもおかしくない案件だった。そもそも交通事故は笑いのネタにしづらい出来事であり、被害者がいる場合はなおさらだ。この話題を軽々しく扱ったこと自体に誤りがあったと言える。

『オールスター後夜祭』は、大型特番の『オールスター感謝祭』のスピンオフ企画として始まったものであり、この手の不謹慎なネタやブラックな笑いを売りにしていたようなところがある。

もちろん、それ自体が一切許されないというわけではない。笑いの手法として認められる場合もある。しかし、今回の件は、どの側面から見ても筋が悪く、批判されても仕方がないものだった。

謝罪に対して事務所は感謝

事務所の抗議を受けて、TBSはすぐに謝罪を表明していたし、事務所側もそれを受け止め「このたびの迅速かつ誠実なご対応に感謝申し上げます」と述べていた。

今回の騒動は、単なる一番組のうっかりミスで済まされるものではなく、テレビの時代が変わりつつあることを象徴している。これまで「炎上を恐れず攻める」ことを売りにしていた『オールスター後夜祭』のような番組にも、倫理と表現のバランスを問う時代の目が向けられている。

テレビ局は娯楽のためのバラエティ番組を作るうえでも、報道機関としての自覚を忘れないようにしなければいけない。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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