破局後に「過激な報復行為」を招く可能性も…人事は【社内恋愛】のリスクと、どう向き合うべきか

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「社内恋愛」に対して取り得る、人事的な措置について解説します(写真:Fast&Slow/PIXTA)
ポジティブな出会いはもちろんのこと、三角関係や痴話喧嘩、えこひいき、ひいては不倫など、職場はさまざまな事件が起こるものです。人事担当者は「社内恋愛なんてなければいいのに」と思うこともあるでしょう。本稿では、社内恋愛に人事が介入できる限界を考察し、社内恋愛への対応を考えます。『企業実務』の記事を再構成し、三浦法律事務所弁護士、社会保険労務士の清水裕大さんが解説します。

アプリ恋愛が増えても「社内恋愛」はなくならない

ここ最近、マッチングアプリで知り合って恋愛に発展し、交際・結婚したという話を見聞きすることが増えてきました。実際、2021年の「出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)では、10人に1人以上がマッチングアプリのようなオンラインサービスを介して交際相手と知り合ったとの分析がなされています。

もっとも、依然として、当該基本調査においても、職場や仕事で知り合って交際する割合のほうが、オンラインサービスを介して交際する割合よりも約2倍多いのが現状です。

さまざまな方法で接点を持つことができる現代においてもなお、仕事を通じて人とつながる可能性があるかぎり、「社内恋愛」はなくならないものと思われます。

社内恋愛によって結婚まで至れば、人事担当者も含めた多くの同僚たちが祝福することでしょう。もちろん結婚という形式に縛られる必要はなく、円満な関係性が続いてくれれば、同僚の皆が祝福する状況にあると思います。

しかし悲しいことに、多くの恋人たちは、結婚まで至らず別れてしまうことがほとんどですし、その関係が不倫であることもしばしばです。熟練の人事担当者ほど、社内恋愛のもつれによるさまざまな問題を体験して、嫌気が差している場合も少なくないと思います。

こうした事例を前に、人事担当者ができれば社内恋愛を水際でせき止めたい、あるいは、規則などで社内恋愛の問題にどうにか対処したいと思うのは極めて自然なことです。

そもそも、恋愛を禁止する法令は存在しません。ただし、不貞行為に限っては、夫婦間の貞操義務(配偶者以外と性交渉しない義務)に反するものとして民法上の不法行為になり、損害賠償責任を負います。

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