「腎臓寿命を延ばす」ために知っておきたい食事の常識5選 腎臓病患者が食生活でガマンする時代は終わった

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塩分、糖分、たんぱく質以外にも、「腎臓リハビリ」では、次のようなポイントを〝新常識〟として食生活を送ることをおすすめしています。

肉は食べない方がいいのか

古い常識……腎臓が悪い人は肉は食べないほうがいい

【新常識4】腎臓が悪くても肉は普通に食べられる!

肉にはたんぱく質が多いため、腎臓病患者向けの栄養指導では「なるべく食べないように」と言われることが少なくありません。

しかし、私は食べ方を工夫すれば、肉をガマンする必要はなくなると考えています。その工夫とは「主食のごはんを低たんぱく食品に替える」という作戦。お米のごはんにはけっこう多くのたんぱく質が含まれているのですが、このたんぱく質含有量をゼロ近くまで減らした「パックごはん」が市販されているのです。つまり、これを利用すればごはんのたんぱく質が浮いた分、肉を普通に食べられるというわけ。肉好きの方には朗報でしょうし、うまく活用すれば食事の幅がグッと広がるはずです。

古い常識……リンって何? 食事で減らすなんて聞いたこともない……

【新常識5】食品添加物をなるべく避けて「リン過剰」を防ぐべき

近年の研究で、普段からリンの多いものを摂っていると腎機能低下が早く進んでしまうことが分かっています。リンと言われてもピンと来ない方も多いかもしれませんが、リンは「スーパーやコンビニに並ぶ食品のほとんどに入っている」と言われるほど、多くの食べ物に含まれています。なかでも気をつけなくてはならないのが加工食品。加工食品の食品添加物に含まれている「無機リン」は体内への吸収率が非常に高く、「とくに警戒するべきリン」とされているのです。

リンが多く使われている加工食品はソーセージ、ハム、ベーコン、練り物、カップ麺、スナック菓子などなど。腎機能のいっそうの低下を防ぐには、こうした加工食品の食品添加物に的を絞って減らしていくのがおすすめなのです。

ここまで腎臓病の食事の「新しい常識」を挙げてきましたが、みなさんどうお感じでしょう。「なんだ、これを守るだけでいいのなら、別に普通と変わらない食事ができるじゃないか」ということに気づかれた方も多いのではないでしょうか。

私は、「腎臓病患者が食生活でつらいガマンや忍耐を強いられる時代はもう終わった」と考えています。常識は時代とともに変わるもの。いまはもう、「腎臓病患者も普通の人と変わらず食事をおいしく楽しめる」というように常識が変わってきているのです。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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