最高の職場 いかに創り、いかに保つか、そして何が大切か マイケル・バーチェル、ジェニファー・ロビン著/伊藤健市、斎藤智文、中村艶子訳 ~良い会社は世界のどこでも共通している
次のような言葉が紹介されている。
「いかなる職場であれ、従業員は自分が尊重されることを望み、威厳をもって公平に扱われることを期待し、信頼できるリーダーを求めて働きにくる。従業員は仕事に対する誇りと仕事の意義をもちたがっている。そして一緒に仕事する仲間と積極的な関係をもちたがっている」
もう1行引用すると、「公正とは、従業員が自身に影響する決定で中立性が保たれていると思える意識である」とある。
ともに働く者の共通の願いであるといってよい。
本書は『フォーチュン』誌の「米国で最も働きがいのある会社ベスト100」を認定する、「働きがいのある会社研究所」のスタッフによる「最高の職場」に関する調査報告書である。
書名となっている「最高の職場」とは、従業員が右のように考えている職場であり、項目的にいえば、「給与と福利厚生」が業界のトップレベルにあり、「出世の見込み」「雇用保障」「仕事と会社に対する誇り」「オープンドアと公正さ」そして「連帯感と親近感」によって支えられている会社のことである。そしてこのような会社は業界でトップクラスの業績を上げている。事例は米国だけではない。
紹介されているどの会社も多様な学習機会や楽しいイベントを用意している。たとえばバーモント州のコーヒー豆販売会社は、社員をコーヒーの生産国に招待し、コーヒーの木がどのような険しさの中で成長するのかを教え、そして旅の思い出を共有する。あるいは従業員が企業の「所有者のようにふるまう」コロラド州の会社もある。